論理
前回の記事もそうですが、今回の記事も、わかっている人には今更言われるまでもない当然の話だと思います。しかし、当たり前のことを当たり前にこなせば受かり、当たり前のことを当たり前にこなせなかったから落ちるのが司法試験です。おそらく、成績が伸び悩んでおられる方は、このような当たり前のことが当たり前になっていないことが多いのではないかと思います。これらの記事は、勉強の最初の一歩のような話ですが、最初の一歩の方向が誤った方向を向いていれば、いつまでたってもゴールに向かっていけません。常に、自分の進行方向が正しい方向に向いているのか、チェックすることを心がけてみるとよいと思います。とりわけ、このような基本的な話であればあるほど、難しい勉強に意識を注いでいくうちに、いつの間にか忘れてしまっていることが多いものです。気をつけてみてください。
(1) つなぎ
趣旨や本質からの論証をする場合、そのような趣旨や本質と結論をつなぐ部分が「論理」になります。この「つなぎ」がなければ、「論理」を示したとはいえません。例えば、以下の2つの論証例を見てください。
A 民法96条3項の趣旨は、取消しの遡及効により第三者がその法的地位を覆されるのを防ぐことにある。
したがって、「第三者」とは、取消前の第三者をいうと解される。
B 民法96条3項の趣旨は、取消しの遡求効により第三者がその法的地位を覆されるのを防ぐことにある。
そして、取消し後に登場した第三者は、取消しの遡及効によりその法的地位を覆されることはない点で、右の趣旨が及ばない。他方、取消し前に登場した第三者は、その法的地位が取消しの遡求効で覆される点で、右の趣旨が及ぶ。
したがって、「第三者」とは、取消前の第三者をいうと解される。
Aの論証は、予備校の答案などでよく見られるパターンです。民法96条3項の趣旨から接続詞1つで直ちに結論を導いています。しかし、Bの論証と比較すれば、趣旨を示しただけでは、そのような結論になることの理由が不足していることが分かると思います。これでは「論理」を示したとはいえません。Bのように論じてはじめて「論理」を示すことができます。つまり、「そして」から始まる一文の部分が「論理」になっている訳です。
(2) 試験本番
試験本番では、時間の制約から、常にBのように書くことはできません。しかし、少なくともメインの論点については、B程丁寧にしないまでも、「論理」の部分を書く必要があると思います。また、現場思考で解釈をしなければならない問題では、当然、趣旨や本質から結論を導く「論理」を示す必要があります。
(3) 日常学習
さらに、普段の学習で、判例や学説の解釈を理解する上でも、判例・学説が、趣旨や本質からどのような「論理」で結論を導いたのかをしっかりと理解する必要があります。普段から、ここでいう意味の「論理」をしっかりと分析していれば、法解釈のコツのようなものが少しづつ身についてくると思います。そうすれば、初見の論点に対する判例・学説の理解のスピード・精度も向上していきますし、本番の現場思考型の問題でも、趣旨から論理的に解釈論を展開できるようになってくるはずです。
ご自身の答案で展開されている論証がAのようになっていないかどうか、あるいは、教科書や判例で論点を読む際に、自分がきっちりとBのような論証ができるような「論理」の理解ができているかどうか、確認してみてください。
(1) つなぎ
趣旨や本質からの論証をする場合、そのような趣旨や本質と結論をつなぐ部分が「論理」になります。この「つなぎ」がなければ、「論理」を示したとはいえません。例えば、以下の2つの論証例を見てください。
A 民法96条3項の趣旨は、取消しの遡及効により第三者がその法的地位を覆されるのを防ぐことにある。
したがって、「第三者」とは、取消前の第三者をいうと解される。
B 民法96条3項の趣旨は、取消しの遡求効により第三者がその法的地位を覆されるのを防ぐことにある。
そして、取消し後に登場した第三者は、取消しの遡及効によりその法的地位を覆されることはない点で、右の趣旨が及ばない。他方、取消し前に登場した第三者は、その法的地位が取消しの遡求効で覆される点で、右の趣旨が及ぶ。
したがって、「第三者」とは、取消前の第三者をいうと解される。
Aの論証は、予備校の答案などでよく見られるパターンです。民法96条3項の趣旨から接続詞1つで直ちに結論を導いています。しかし、Bの論証と比較すれば、趣旨を示しただけでは、そのような結論になることの理由が不足していることが分かると思います。これでは「論理」を示したとはいえません。Bのように論じてはじめて「論理」を示すことができます。つまり、「そして」から始まる一文の部分が「論理」になっている訳です。
(2) 試験本番
試験本番では、時間の制約から、常にBのように書くことはできません。しかし、少なくともメインの論点については、B程丁寧にしないまでも、「論理」の部分を書く必要があると思います。また、現場思考で解釈をしなければならない問題では、当然、趣旨や本質から結論を導く「論理」を示す必要があります。
(3) 日常学習
さらに、普段の学習で、判例や学説の解釈を理解する上でも、判例・学説が、趣旨や本質からどのような「論理」で結論を導いたのかをしっかりと理解する必要があります。普段から、ここでいう意味の「論理」をしっかりと分析していれば、法解釈のコツのようなものが少しづつ身についてくると思います。そうすれば、初見の論点に対する判例・学説の理解のスピード・精度も向上していきますし、本番の現場思考型の問題でも、趣旨から論理的に解釈論を展開できるようになってくるはずです。
ご自身の答案で展開されている論証がAのようになっていないかどうか、あるいは、教科書や判例で論点を読む際に、自分がきっちりとBのような論証ができるような「論理」の理解ができているかどうか、確認してみてください。
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