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科目別使用教材-倒産法

① 破産法・民事再生法(伊藤)
制度趣旨など基本的な考え方がしっかり説明されているし、論点の解説も詳しいので、倒産法の理解のためには良い本だと感じた。ただ厚すぎるので、通読はできなかったし、直前期に読み直すということもできなかった。大事な部分は何度も読んだ。


② 倒産法概説
やや舌足らずで理解しづらい部分が多いと感じた。理解した後で使うまとめ本みたいな使い方をすればいいのかもしれない。


③ 倒産処理法入門
ざっくり倒産法とはどういうものかを把握するのに使った。未知の分野を勉強するときには、まずこのような全体を概観でき、かつ、その法律の基本的な発想を説明してくれる本を読んでおくと、学習が進みやすいと感じる。


④ ロースクール倒産法
これをしっかりやっておけば本番には十分対応できるという印象。私が本番で失敗したのは問題文の事実関係の勘違いを2つやってしまったからで、ロースクール倒産法や①ないし③で対処できないという訳ではない。


⑤ 百選
④をやる過程や講義で扱った判例についてだけ読んだ。試験対策としては全部読むのはコスパが悪いと思う。



※ 倒産法演習ノートは時間がなくてできなかった。時間があればやっておいたほうが良いと思う。知識を入れるため、というよりは、事案分析力の向上のために。
 手続について、きっちり条文を上げて説明できる訓練をしておくべき。私もある程度やっていたが、条文を覚えきれないなぁ、苦手だなぁと思っていた某手続が出てしまって苦しんだ。苦手ならばこそ、何度も何度も繰り返してきっちり頭に叩き込むべきだったと後悔している。
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科目別使用教材-刑事訴訟法

① 刑事訴訟法講義(池田前田)
公判と証拠法について。書き込みしつつ使った。捜査部分もある程度読んだが、それよりも判例と後述の酒巻教授の連載に頼っていた。


② 酒巻「刑事手続法の諸問題」法学教室283~306
刑訴法のものの考え方の修得に役立つ。絶対に目を通すべきだと思う。


③ 演習刑事訴訟法
これも刑訴法の理解を深められるとてもよい本だった。ただ「演習」としてはやや物足りない。事例問題の訓練というより、刑訴法の理解を深める本かもしれない。


④ 百選&ケースブック刑事訴訟法
百選を何度も読み込んだ。ケースブックも、判例の法律構成や事実の評価を分析する上で必要な限度で読んだ。ケースブックの証拠法の問題にもある程度目を通してみた。


⑤ 捜査法演習
長文事例問題になれるために直前期に使った。全部解いている時間はなかった。


⑥ 旧試過去問
LIVE本が使えなかったので、普通にWセミナーのもので解いていた。



⇒ 今振り返ると、刑訴法は明らかにinput学習に偏りすぎていて問題演習不足だったと思う。そのため、長文の問題を分析することへの対策を十分に練り上げた上で自分の身にしみこませるということができなかった。今思えば、試験前に立案しておいた考え方で十分に解けたと思うのだが、その考え方が自分の中で常識化していなかったがために、時間不足気味になって焦りだしたときにその考え方が頭からすっ飛んしまっていた。その結果、論点にひっぱられてしまって、失敗したのだと思う。


⇒ 刑訴の捜査は毎年比例原則のあてはめが出ている。強制処分と任意処分とその限界の議論、111条の必要な処分など。証拠では、何が立証対象なのかということをきっちり認定して、それとの関係で証拠法則がどう働くのか分析すること、さらに、伝聞例外ということになれば、特信性をまずはしっかりその意義内容を解釈して、事実を積み重ねてきっちりあてはめられること、など。

科目別使用教材-刑法

① 刑法総論講義案(司法協会)
わかりやすく書かれているので理解しやすい。まずスタンダードな考え方を身につけるのに良いと思う。足りない部分は他の本で補充すればよい。


② 刑法各論(西田)
すっきりまとまっているので使っていた。簡潔にまとまりすぎていて理解できない箇所もあった。行為無価値の人が使っても問題はないと思う。


③ 刑法(山口)
新司法試験として大事な話はかなり網羅されているように感じる。ただ、本の性質上、そこまで説明が丁寧ではなわけではない部分が多い。逆に言えば、この本で丁寧に説明されているような部分は超重要なことなのだろうと考えて、しっかり読んでおいた。


④ 大谷「刑法講義総論・各論」、井田「講義刑法学・総論」
辞書的に使っていた。井田先生の本はとてもよい本なんだろうなと感じるけれど、難しくて読むのに時間がかかると思う。個人的には、いきなりこのような学者の本を読むより、①を読んだほうが理解が早い気がする。


⑤ 刑法総論の思考方法・刑法各論の思考方法
問題の本質を探り出して、それに回答する、刑法の思考方法の修得のために。
著者のおっしゃるとおり、教科書の行間を埋める本。何度も読んだ。


⑥ LIVE過去問
解説がちょっとイマイチだと思う。少し批判的な目を持ちつつ読んだ方がいいかもしれない。


⑦ 刑法事例演習教材
時間がなくてあまり解けなかったが、特定の論点の発見(抽出)&分析(解釈)&解決(あてはめ)の訓練にはなると思う。旧試には出ていないが新試には出やすいだろうと思われる論点や、事実認定の勉強になるので、⑥を補完するものという印象。解説の性質上、法律構成の訓練には使いづらいので、法律構成の訓練(答案構成力の養成)は⑥の方がやりやすいと思う。


⑧ 百選&判例刑法総論・各論
最高裁判例や、重要な下級新判例に限定して読んだ。判例の考え方に近い見解で問題を解けるようにしておくと、本番の問題はときやすいように思う。



⇒ 刑法は、いろんな事実を積み重ねてあてはめるていくような、あてはめが長くなる論点がメインで出る。規範だけでなく、考慮要素・メルクマールがあるような論点(ex.共謀共同正犯と幇助犯、不真正不作為犯、事後強盗の強盗の機会など)。なので、そのような論点をしっかり勉強しておくことが肝要だと思う。

科目別使用教材-会社法

① 前田「会社法入門」
制度の具体例を書いてくれていたり、趣旨が長く説明されていたりするので、理解しやすい本だった。江頭が理解不能なときに読んだ。


② 江頭「株式会社法」
講義にあわせて大体通読したが、それ以降は大事な部分だけを何度も読み返す形。今年の問題も、江頭に書いてあった!と思い出して書いたりしたので、大事な部分をきっちり読んでおくのは有益。理解しづらかったら、①や③に戻ればいい。


③ リーガルクエスト
江頭がわかりづらいときや、江頭や前田を読むだけの時間がないときに読んだ。組織再編などはよくまとまっている。


④ 会社法100問
これに自説を書き込んでまとめノート化しておいた。今年の問題の某規範(○せ○)は会社法100問の該当頁を思い浮かべながら書いた。


⑤ 法学教室の演習
④だけでは事例問題の演習が足りないと思い、法学教室の新会社法以降の演習をいくつか解いた。その中に今年出題されたあまり論文で出そうにないあの問題もあったため、助かった。


⑥ 百選&商法判例集
解説もほぼ全部読んだ。商法判例集はごく一部。


⇒ 平成21年を除けば、①誰もが知っている論点をしっかり法律構成できること、②規範的要件をしっかり解釈してあてはめられること、がまず大事。②については、たとえば任務懈怠について、具体的に「~という行為をしなければならないのに・・・という事実からすると・・・という理由で怠ったといえるから任務懈怠がある」といったように。ここでは、具体的にどのような行為をすればよかったか、というところをきっちり示すのが大事。過失も同様。


※ 補足
 会社法事例演習教材は、講義で少し使った程度。おそらくとてもよい問題集なのだろうけど、解説がないのと、設問が誘導バリバリ過ぎて事案分析力の訓練にならないし、問いの立て方が答案構成力の訓練にならないので使わなかった。
 事例で学ぶ会社法は、時間がなくて1問もできなかった。

科目別使用教材-民事訴訟法

① 民事訴訟法講義案
制度の原理・原則・例外とそれぞれの趣旨、判例・通説を理解していくには使いやすい本だと思う。足りない部分は他から補充すればいい。


② 重点講義民事訴訟法上・下
各制度の趣旨や本質を深く理解するのことができる。具体的な解釈論に行く前の基本概念の説明部分で。論点解説の部分も、論点を発見する思考過程や、論点分析の思考過程を読み取るように読めば、今年の新試のような問題に対処できる思考力養成に役立つと思う。覚えようとして読む本ではない。


③ LIVE民訴
論点の解説がわかりやすくてよい。


④ 解析民事訴訟
民訴の問題を解く思考プロセスの修得に使える。LIVE民訴は、そのような思考プロセスといより、民訴法の解釈論の発想ないし考え方に傾いている。こっちは、実際の問題解決のための思考プロセス寄り。
 

⑤ 百選&ロースクール民事訴訟法
事案をしっかり読むのが大事。


⑥ 肢別本


⇒ 民訴は、要件事実的思考で、まず訴訟物・請求原因・抗弁などを整理できるように。そうすると、主張整理ができる。主張整理ができれば、処分権主義(訴訟物)、弁論主義(主張・立証)のどのレベルに問題があるかが分かりやすくなる。主張整理を前提とした問題はほぼ毎年出ているので、この作業がきっちりできることがまず肝要だと思う。

科目別使用教材-民法

① 佐久間「民法の基礎ⅠⅡ」
民法の基本的な発想が分かる。


② 内田「民法Ⅲ」&道垣内「担保物権法」
担物は内田メインでもいいような気がする。


③ 中田「債権総論」
オーソドックスでよい。ただ、議論のそもそもの出発点になる考え方の説明に乏しいので深い理解には繋がらない気がする。淡路や潮見の方がその点では優れているかも。


④ 潮見「基本講義債権各論ⅠⅡ」
考え方が説明されていて良かった。
通説の説明もちゃんとある。


⑤ 山本「民法講義Ⅳ契約」
論文演習期の調べ物用。今読むととてもよい本。時間があるときに、どうしてこのような解釈なのか、どうしてこのような要件事実になるのか、などと考えながら読むととても力がつくように感じる。


⑥ LIVE貞友民法
民法の事例問題の思考方法の修得にとても役に立つ本。
解釈論の発想もよい。


⑦ 民事法ⅠⅡⅢ
ⅠとⅢだけやった。あまり意味はなかった気がする。それより⑥で事例問題の思考方法を学ぶほうが先決だし、この本で学べる解釈論は基本書でも大抵学べる。3年秋以降は調べものの時に使った程度。


⑧ 問題研究&類型別
試験対策としては、問題研究だけ読んだ。過去問を分析する限り、知識として要求されるのは、問題研究レベル。そして、現場思考型として出題される問題は、問題研究にある要件事実の基本的な思考方法が修得できていれば対応できる。なので、類型別まで読む必要はないと思っていた。


⑨ 百選&内田「民法判例集」
百選は新しくなったので、それを通読した。解説も全部読んだ。民法判例集は、百選に載っていない判例で、択一や論文の勉強をしていて気になる判例が出てきたときに限定して使った。年明け以降は判例集読みの時間は取っていない。


⑩ 択一式受験六法
本格的な択一対策に入ってからは、基本書を頭から読んでいる時間はとれないので、これで知識の確認をしていった(ただし、理解が足りない部分は基本書に戻った。この本は知識の確認ができるだけで、理解ができるものではないから)。


⇒ 民法は毎年傾向が違うように思われるので、新試に特化した対策のようなものは見出しがたい。ただ、⑥で学べるような、あるいは要件事実的な思考方法で問題に望むことを身につける、ということが最大公約数的な対策になることは疑いないように思われる。とにかく、条文を起点に解釈をすること。条文を操作すること。解釈論は、条文の文言と、条文の趣旨・本質から論理的に説き起こすこと。あてはめは、解釈規範との関係で意味を持つ事実を摘示して、その事実が解釈規範との関係でどのように意味を持つのかを示しながらあてはめること。意味をもつことの指摘の際には、意味を持つとする理由が解釈論とちゃんとつながっていることを示せるようにすること、あたりでしょうか。

科目別使用教材-行政法

① 桜井橋本「行政法」
4~5回通読した。足りない情報や、舌足らずな部分は塩野や宇賀や事例研究行政法で補充して使った。これがメイン。


② 塩野「行政法ⅠⅡ」
重要な単元部分を通読したり、調べものをするときに読んだ。


③ 宇賀「行政救済法」
調べ物用。


④ 藤田「行政法入門」
ローの講義が始まる前と一通り行政法の講義が終わった後などに読んだ。基本的な考え方を学ぶにはよい本。


⑤ 事例研究行政法
とても使い勝手が良い演習書。ただちょっと問題数が足りないかもしれない。
また、本試験では見たことのない法律を条文の文言と趣旨・目的から解釈していくことになるが、その訓練はあまりできない。

⑥ ケースブック行政法&百選

ケースブックは法律構成を追いやすくてよかった。問題はやっていない。
百選は肢別本などで択一対策をしたときに拾い読み。


⑦ 肢別本
地方自治法の部分など、本番と傾向が違う部分は無視していいと思う。


⑧ 法セミ2009年9月号「行政法思考で試験問題を解く」
行政法の思考方法・勉強の指針のヒントになった。


⇒ 知識は桜井橋本と事例研究行政法とケースブックで十分だと思われる。その後は無数にある行政法規の読み解き、法解釈&あてはめができることが大事になってくる。それは覚えて対処するものではなく、解釈の思考方法を習得して対処すべきことがら。そのための訓練は、新試の過去問やロースクールの講義で行う。また、判例でどのように行政法規を解釈しているかなどをしっかりみておくのも対策になる(ケースブックだとそれができる。百選は行政法規の解釈部分が省略されてるからダメ)。

科目別使用教材-憲法

科目別に使用した教材をつづっておきます。


① 芦部憲法&憲法判例を読む

芦部憲法はあまり読まなかった。
憲法判例を読むはわかりやすいのでおすすめ。


② 立憲主義と日本国憲法(高橋)

憲法理論の説明があるので、考え方が理解できるのがよかった。
問題に対する思考枠組も書いてあるもの良かった。
これがメイン。


③ 憲法Ⅰ・Ⅱ(いわゆる四人組)

調べものに使った。
統治は2度通読した(1年次と2年次)。
人権は情報が足りず、統治は情報過多。


⇒ 新試憲法の特徴として、教科書的知識だけではどうにもならない点があげられる。基本的憲法理論を学ぶことは最低限の前提にしかならない(だからといって教科書を読まなくていいわけではなく、憲法理論を理解して知っていることが当然の前提ということだと思う)


④ 宍戸連載(法セミ)&憲法上の権利の作法

教科書で学んだ知識を発展させるために。
非常に有用。
教科書を何冊も買ったり読んだりしないで、芦部+宍戸+作法とか
高橋+宍戸+作法とかでいいと思う。


⑤ LIVE憲法過去問(むねすえ)

旧試の問題は、事実から憲法論に行き着くまでの思考を要求していないので、それが要求される新試の演習にはなりえない。新試対策というより、ロー1年2年時に憲法を理解するために使う本。


⑥ 事例研究憲法

解説の質はよくないけれども、事実から憲法論に行き着く思考力を鍛えるには使える。


⑦ 憲法判例&百選

プロセス演習憲法+百選でもよかったかなぁと思う。


⇒ 教科書で憲法理論を学んだら、それが具体的にどのように使われるのかを、④の教材を片手に判例を批判的に分析してゆくのが有効なのではないかと思う。⑥はそれが終わった後にやった方が効果的だと感じる。


⑧ 肢別本


※ 2009、2010の法セミの新試解説本の宍戸&小山教授の解説は、思考方法が示されているのでとても参考になると思います。

勉強の工夫シリーズその1

ちょっとした勉強の工夫について、思い出したことを思い出したときにつづっておこうと思います。


1.説明できるようにする

基本書を読んだり、判例を読んだりするときの工夫です。ただ読んでそれだけにするのではなく、基本書で趣旨や論点を学んだら、それを誰かに説明できるようになっているかチェックをしていました。理解できているなら説明できるし、説明できなければ理解できていないことが分かります。さらに、説明作業をすることで、記憶の定着も図れます。
 これは葉玉先生のブログでも書かれていることですね。また、京大の松岡教授も「他人への説明も非常に有効」とされています(http://www.matsuoka.law.kyoto-u.ac.jp/SemiMaterials/how2ans.htm)。
 当たり前ですが、実際に人の前で説明していたわけではありません。ブツブツやっていただけです。自習室では声にださないように注意しましょう。通報されます。


2.付箋の利用

どうしても覚えなければならないことを確実に覚えたいときには、付箋に内容を書いて机の前の壁に貼っておきました。こうすることで、いつでも壁を見ればそこに自分にとって今確実に覚えなければならない情報にアクセスできるようにしておきました。
 たとえば、「任意捜査の限界は比例原則」のような超基本的な知識であり、当たり前の情報でも、1回その情報に触れた後次に触れるまでのスパンが長ければ、なかなか定着しません。そして、ローに在学していると、普段大量の情報に次々と接していかなければならなくなるので、なかなかそのスパンを短くできなかったりします。そこで、最低限確実に頭に叩き込みたいことだけでも、毎日のようにアクセスできるようにしておいたわけです。夜寝る前やちょっとした休憩時間、食事の時などにながめていました。
 


※ 前回の択一の記事に補足を入れておきました。

具体的な択一対策

1.はじめに

私の択一の得点は、300点程度(50位くらい)でした。今回は、私が3年秋から行った本格的な択一対策について書きたいと思います。ただ、この本格的な択一対策「だけ」で本番の点数が取れたわけではないということに注意してください。3年秋以前までに、「日常的学習」で書いたような学習を積み重ねてきたことが前提になっています。よく択一対策は何をしたかなどと質問をされるのですが、そこで回答する「肢別本を解いた」といったことだけが択一の点数を支えているわけではないのです。それまでの積み重ね(基本書読み、判例読み、論文問題演習)と本格的な択一対策とがあいまって本番の点数に結実しています。


2.総論

(1) 肢別本
 
科目別の対策の前に、全体的な話からしていきたいと思います。私の本格的な択一対策の中心は、肢別本を解くことでした。その理由は、アウトプットが記憶の定着に良いこと、新試の過去問だけでは数が足りないこと、沢山の問題をこなすことで論文用の知識のインプットも兼ねられること、でした。具体的なやり方は、以前紹介した司法試験の思い出のイチローさんの方法とほぼ同様です。一日に500肢を目標に解いていきました。そして、1科目分の肢別本を解き終わったら、次の科目に行かないで、もう一度同じ科目の肢別本を解いてから次の科目へ移っていました。短期間にすばやく繰り返すのが記憶の定着によいからです。これは非常に重要なポイントだと思います。そして、二回連続で理由付きで正解できた肢は年内にはもう解かないこととし、間違えた肢あるいは理由を正確に言えなかった肢のみを3度4度と正解できるようになるまで繰り返していきました。使用教材は、肢別本のみです。刑事系のみ、新司法試験の過去問だけを用いていました。本試と傾向が異なるなどと、評判が良くなかったからです。年内には、全体を2回、間違えた肢についてはさらに1~2回解きました。それでもまだ間違ったり理由を正確にいえない肢については、付箋を貼っておきました。年明け後は、2月にローの期末試験がわるまではTKCの復習程度に留め、2月以降に、本番までに全ての問題ををゆっくりとしたペースで1回して、さらにそれとは別個に、いまだ間違う問題について集中的に繰り返すこととしました。そこで付箋の貼ってある肢が理由を言って(議論を組み立てられて)解ければ付箋を外していました。択一試験の前日には、後述のノートと、付箋の貼ってある肢を解いていました。なお、日常的学習と同じように、肢別本の解説はあまり読まないで、基本書・判例集に戻っていました。
 現実には、秋には講義の予習復習もあり、なかなか500肢はできませんでした(100肢程度しかできない日も多々ありました)。それでも、1週間程度でなんとか一科目を2週はさせていました(民法を除く)。年明け以降はペースが遅すぎて(1日50肢程度だったろうか)、本番までに全てを回せませんでした。そこで、もう出なさそうな問題(大昔にでただけの肢)などは捨てたりして解く問題を減らすなどの工夫をしていました。


(2) 考える

肢別本を解く際のポイントは、記憶に頼らないことです。単純な条文知識問題などは記憶に頼らざるを得ないのですが、そうでない問題では、極力「考える」作業を怠らないように注意していました。その肢に対して論文問題として回答するなら自分はどこから議論を出発させてどう論じるかを考えていたわけです。判例や通説の規範や結論を知っていれば、その知識・記憶で解けてしまう肢でも、頭の中で自分で一から議論を組み立てていました。ここで上手く議論を組み立てられなければ、答えが分かっているときであっても、基本書や判例集に戻っていました(これが論文対策とのリンクになります)。記憶で解く単純な知識問題でも、その出題趣旨は何なのか、なぜこの知識が聞きたいのかといったことを意識していました。


(3) 間違ったら

間違ったときには、「正解は何か」ではなく、「なぜ間違ったのか」を分析していました。そうすることで、自分の陥りやすい誤った思考方法を発見し、それを修正して、次から正解できるようにすることができるからです。正解だけを追っていると思考方法の修正はなかなかできません。本番では知識に頼らず思考して解くことになるので、自分の謝った思考方法を修正しておくのはとても大切なことではないかと感じています。旧司法試験時代なかなか択一の点が上がらなかったのは、勉強不足もありますが、「正解は何か」ばかりに気を取られていたのが原因だったと今では思っています。


(4) 基本書&判例&六法とのリンク

新・旧司法試験で出題された肢については、その出題された部分について、基本書・判例集・六法にそれと分かる形でチェックを入れておきました。そうすることで、基本書・判例・六法を読むときに、ここは択一で聞かれる部分なんだと意識して読めるからです。とりわけ、憲法では、どのような部分が出題されているのか、なぜそこが効かれたのか、その憲法的な意味はなんなのか、というところを分析しておくと、そのような類のことを聞いてくるのであれば、いまだ出題されていないこの判例ならここを聞いてくるだろうというような見切りができるようになってきます。そうなると、細かいことを聞いて来ているように感じる憲法も決して細かいことを聞いてきているわけではないことが分かってきて、大分択一が楽になりました。
 六法については、条文素読みをするときに、およそ聞かれない条文などを読んでも試験上は無意味なので、肢別本・模試も含めて、出題された条文の出題された部分にマーカーを入れて、その部分とそれに関連する部分だけ読むようにしていました。さらに、問題を解いたときに、問題を解くのに最低限必要な条文知識の書き込みをしたりしておきました。この書き込みによって、六法が「オリジナル択一六法」になるイメージです(なお判例は百選を読んでいたので、判例を書き込んだりはしませんでした。判例六法は判例があるせいで条文と条文が離れすぎてしまい条文の位置イメージが作れないのがいやで使いませんでした。しかし、後で判例六法の方が択一対策には便利だったろうなとちょっと後悔しました)。


(5) オリジナル弱点つぶしノート

勉強を進めていくと、何度やっても間違う問題がでてきます(私には8回連続不正解という肢別本を引き裂きたくなるような肢もありました)。そういう問題については、別個にノートを作成しておいて、夜寝る前やちょっとした空き時間に目を通したりしていました。
 たとえば、(自分にとっては)よく似ている(ように思えてしまう)けど微妙に違うもので、その区別がつかなくなってしまうような問題について、ノートに整理してまとめておいたりしました。


(6) 条文素読み

新試択一で高得点を取る為には不可欠だと思います。私が素読みを行ったのは、憲法、行政法、民訴法、刑法(ごく一部)、刑訴法です。素読みの時間を普段の学習時間の中に組み込むのはなかなか難しいのですが、模試の前日、模試の休憩時間、試験の前日、試験の休憩時間、だけでも相当な回数がこなせますので、それだけでもよいのでやっておくと効果が出ると思います。


(7) 評価
2週間に一度程度、択一の模試の問題などを用いて、勉強の成果をチェックし、勉強方法が効果的かどうかをチェックしていました。効果が出ていないようであれば、別の勉強方法を考え出して随時修正をしていきました。その過程は昨年秋あたりの記事をご覧になっていただくと生々しい様子がうかがえると思います。
 受験生の中には、9月のTKC以降で択一の問題を解いて点数を出すのは次の12月のTKC、という人が多いようですが、3ヶ月もの間、勉強の成果を評価できないと、その間にとっていた手法が効果的なものでない場合、3ヶ月を台無しにすることになってしまいかねません。可及的に勉強成果のチェックを行ったほうがよいように思います。


3.各論-科目別対策

(1) 憲法

① 憲法総論
芦部憲法の記述そのままの肢があったりと、芦部憲法が効果的に感じられたので直前の3月~4月あたりに読んだ。

② 人権
基本的な憲法論、判例の2本立て。判例は百選でも憲法判例でも足りないので、憲法判例をメインに百選で補完し、さらに重要判例についてはTKCで打ち出して全文を読んだ。択一で聞かれるのは、裁判所の下した憲法論的に意味のある判断部分なのだが、百選や憲法判例で引用されている部分以外にもそのような判断があったりするのが困る。前述した問われているところから、どのような部分を問うてくるのかをつかんでいって、その目で判例集読み込みをすると効果的。

③ 統治
条文+基本的な解釈論+重要判例の3本立て。肢別本は細かすぎるので、本試の過去問の傾向からして出なさそうな部分はどんどんカットしていっていいと思う。そのためにも、まずは過去問だけ何度か解いて傾向をつかむといいと感じた。基本書は芦部ではやや物足りないが、4人組だと多すぎるので、芦部ベースで4人組を辞書的に使った。



(2) 行政法

① 条文
行政事件訴訟法だけでなく、行政不服審査法、情報公開法、個人情報保護法、国賠法、行手法、行政代執行法など出題されている法律は素読みした。模試の度に素読みしていた。とにかく条文が大事。条文を読むときには、主体・客体・要件・効果を意識して読み込んだ。

② 判例
結論と規範で回答できるものが殆ど。CBで基本的には足りる。加えて、肢別本や模試で出題された判例をおさえる。

③ 基本書
桜井橋本を通読したことも大分択一に役に立った(判例が相当な数整理されているので)。


(3) 民法

① 択一六法
この科目だけ択一六法を使った。肢別本を解いて、択一六法をチェックしていく形。平成20年度2位のsunさんと同じようなやり方。択一六法で親族・相続の条文を確認しておいたことは、今年の論文問題にとても効果的だった。

② 肢別本
新司法試験は、旧司法試験と異なり、細かい解釈問題は出題されていない。なので、旧試の細かい肢はやらなくてよいと思う(その代わり、新試は条文知識が出るので、択一六法で条文をよく読んでおくことが肝要)。

③ 判例
それほど出題されるわけではないが、百選レベルの判例は出題されたら確実に正解できるように百選を読んでおいた。みんな百選は読んでいるので、みんなが解けるから。8割目指そうと思ったら、みんなが解ける問題を外すわけにはいかない。なので、百選の重要性があまり高いとは思えなかったが、百選を聞かれて答えられなかったら法律家失格くらいの意気込みで読んでおいた。

④ 親族・相続
10点分ある上、論文にも出題されるので、択一をしっかり勉強しておく必要がある。基本書を読むのは大変なのdえ、択一六法で基本的な条文の趣旨と条文操作を確認しておいた。それが今年の論文に活きたのは前述の通り。

⑤ 要件事実
ロースクールの講義を必死に頑張ったおかげで、特にそれ以降勉強しなくても択一は解けた。基本的な知識と、要件事実論の基本的な考え方を修得するのが大事。


(4) 会社法

① 葉玉100問
問題数がやたら多いのに本試験と傾向が違うのでイマイチ効率が悪い。
会社法は出題数が少ないのに、範囲が膨大で分量が多いのでコスパが悪い。
範囲が膨大なので民法並みにガンガンすばやく回して短期間で繰り返さないと定着しない。

② 条文素読み
時間がなくてできなかった。論文対策としても、ある程度やっておけばよかったと思う。

③ 百選
全部読んだ。今年は判例が殆ど聞かれなかったが、やはり百選レベルを間違うようでは法律家失格くらいの意気込みが必要だと思う。


(5) 商法・手形・小切手法

① 過去問
② 模試

この2つだけ。コスパの問題。
本番は全くわからず勘で選んで6点取った。
そんなもの。


(6) 民訴法

① 肢別本
1年生の頃から何度も繰り返した。一番回した回数が多いと思う。結果得点率も一番いいので、回した回数はやはり重要。過去問ではない予備校作成問題は変てこなものがあるので、意味がわからなかったらスルーするのもあり。

② 判例
百選を完璧にするのは他の科目と同様。ロースクール民訴の判例も、肢別本や模試に出題されている限度である程度おさえておいた。

③ 条文
手続周りは条文が良く聞かれるので、前述したような手法で六法を「オリジナル択一六法」化させて六法を読み込む必要がある。肢別本と模試で問われた条文を抑えておけば十分な点数が取れると思う。


(7) 刑法

① 総論
各説の代表的な理由と代表的な批判を1個ずつと、事例に対するあてはめの帰結を知っていれば解ける(各論も同じ)。
パズル形式が多いので、あまり肢別本が役に立たず、実際に解く訓練が必要。
解き方のノウハウがあるので、それを自分でつかむなり人から聞くなりするとよい(説明しづらいのでブログでは書けない)。

量刑、執行猶予などが毎年出題されているので、そこだけ条文をしっかり読んでおく。ここだけ肢別本をやっておいた。


② 各論
とにかく構成要件をおさえる。あまり百選が役に立たない(百選以外が出るから)。山口青や西田など基本書で判例をチェックしていた方がよいと思う(よく出題されている罪については)。
賄賂罪・放火罪は条文をよく読んでおく。


⇒ 総論各論ともに「あてはめ」ができることが重要。旧試験のような細かい学説の対立はほぼ不要。


(8) 刑事訴訟法

① 判例
あまり出ないが、刑訴は憲法にならんで論文で判例が重要な科目でもあるので、できる限り全部読んでおく。また、百選に載っていない判例が聞かれる部分もある(訴因のところなど)。そういう分野については、基本書などでどのような判例があるか知っておく必要がある。

② 条文
判例の代わりにこちらが多い。規則も出る(反対尋問など)ので、そこをしっかり勉強する。

③ 新しい制度
毎年のように新しい制度について聞いてくるので、新しい制度について知っておくとよい。

④ 類似問題・特定の範囲
同じような問題が何度もでる傾向にあるので、過去問をまずしっかり潰すのが重要。
また、出るところと出ないところがハッキリしているので、無闇に基本書通読などをするより、過去問を検討してでている分野だけ知識をおさえるといったようにしたほうが効果的。



4.基本的な解き方

① 確実に切れる肢を切る
確実に分かる足についてだけ○か×をつける。


② 回答
確実に切れた肢だけで答えがでればそれでOK。答えが出ず、肢が複数残っているようなことがあれば、あとは勘。

⇒ ポイントは、確実に切れる肢だけしるしをつけること。不確実な肢の不確実な○×を念頭に検討してしまうと間違いやすくなる。

⇒ 刑法のパズル問題などは解くのに慣れも必要。そのような問題は肢別本でなく、実際の出題形式で解いて練習する。


5.終わりに

ポイントは、短時間・短期間に何度も繰り返す、ということだと思います。何度やっても間違う問題があるのなら、正解できるようになるまで20回でも30回でも繰り返すしかありません。苦しい地道な作業ですが、条文に慣れ親しむチャンスでもあります。私は、択一の勉強を通じて、条文を読み込み、条文に慣れ親しむことができました。論文試験で重要な、条文を起点とした解釈という思考を自分の中で常識化するにあたっても、択一の勉強で条文に慣れ親しんだことは有益だったと感じています。



※ 補足

・論理問題は、それまでに基本書・判例をしっかり読んだり、論文問題演習をしておくことが肝要。肢別本は理解できているかどうかの確認をしたり、穴を発見したりするために使うのであって、肢別本で勉強するというものではないと思う。

・重判は、平成19~平成22を通読。憲法のみ平成18年にも目を通した。憲法、刑訴は重判からよく出ている。しかし、コスパは良くないので、余裕のある人向けではないかと思う。

・模試の問題も間違ったものは、「なぜ間違ったか」の視点で復習をしておいた。しかし、TKCはあまりに本試験の傾向からずれているので、あまり復習する意味がないような気がする。

Q&A抜粋その1

masoブロさんのパクリみたいな構成になってしまうのですが、コメントに寄せられた質問への回答も大分有益な情報になるのではないかと思うので、読みやすいように抜粋して記事にしようと思います。
 また、自分で勉強方の記事を書いてみてわかったのですが、自分で記事を書くときには自分のもっているノウハウを全てひっぱりだしきれず、質問を受けてそういえばこういうこともあるな、と思い出すということが多いです。ですので、質問が多いとそれだけ多く情報を出せるかもしれませんので、質問は大歓迎です。



Q1

私は今年、最終不合格でした。ログヨミさんの記事を読むなどして敗因分析をしているのですが、今年は論点抽出・出題意図の把握がうまくできない→答案構成に時間がかかる→答案が薄くなるといった科目が多かったです。演習は答練に任せていて演習書を使った②事案分析力の訓練、③答案構成力の訓練をほとんどやっていなかったことが大きな原因かと思います。

現在は、演習書を使って上記部分を意識的に訓練するようにしています。今回のログヨミさんの記事は普段の勉強の指針として特に参考になりました。

さて、演習書について質問があります。

合格者の方のブログを見たり話を聞いたところ、(1)科目別にメインの1冊を決めてそれを潰した(=答案まで書いた)という方、(2)メインの1冊を決めず、とにかく演習書の類をたくさん読んだ(答案は書かなかった)という方、(3)メインの1冊を決めて潰したが、他の演習書は読むにとどめたという方がいらっしゃいました。

私は、答案を書く訓練もしつつ、②・③を鍛えたいため、(3)の方法を取り入れようと思います。具体的には、できるだけ思考プロセスが明示されているもの(民訴ならばLive本)をメインに据えて答案まで書くようにし、それが終わったら、その他の演習書(民訴ならば、解析民事訴訟、事例演習民事訴訟法、基礎演習民事訴訟法等、多くの受験生が使っているもの)について答案構成をして解説を読もうと思います。今はメインに据えた演習書を潰している状態です。

これは勉強の方向性として正しいでしょうか?


A1

事案分析力の養成には、沢山事例問題をといて、思考パターンを沢山ストックするのが有効だと思います。解いた問題の「種類」が多ければ多いほど思考パターンも沢山ストックすることができて、より事案分析力を向上させてゆくことができます。そして、事案分析力のトレーニングには必ずしも書くことは不要で、答案構成を行うにとどめる解き方でも十分有効に行えます。その答案構成のときに、私のいう答案構成力の訓練も行えば、事案分析力のトレーニングと答案構成力を手早く進めていけると思います(ただし、答案構成は一つ一つの議論をきっちり丁寧に積み上げていく作業を慎重に行う必要があります)。書く訓練も大事ですが、事案分析力と答案構成力が足りなかったことが敗因であると自己分析されたのであれば、大量に問題演習をする必要があると思いますので、答案構成でどんどん問題を解いていくといいのではないでしょうか。さしあたり、書くのはあるべき姿として参考になる様な参考解答例などがある場合に限定してもよいと思います。そして、ある程度事案分析力と答案構成力がついてきたら、新試験型の問題で書くトレーニングを行なうというのが段階的な学習になってよいのではないかと思います。


Q2

答案構成力の訓練について質問させて下さい。

ここでいう答案構成力の訓練とは、本番(ないし答練)で行う答案構成とは違うという理解で合っておりますでしょうか?

答案構成力の訓練とは、

>必要な議論を、網羅的に、議論の出発点から論理的な順序・関係に即して組み立てていく

とのことでしたので、例えば 事案の問題提起→論点の問題提起(条文の文言解釈であることの指摘等)→論証(趣旨から思考して、理由付けのキーワード、規範まで書く)→あてはめ(特にポイントとなる問題文中の事実の指摘)→事案の結論 といった流れを意識して紙に書き出していく作業だとイメージしました。辰己のえんしゅう本にある答案構成例のような、接続詞を使うなどして論理を丁寧につないでいくイメージです。
これに対して、本番や答練では時間がなく、このような丁寧な形での書き出しができません。
普段は上記のような訓練を意識して行い、本番や答練では頭の中でそのような思考を行うということなのでしょうか。

今答練を受けているのですが、丁寧に答案構成すると時間が足りなくなる、かといって大ざっぱに答案構成をすると答案が乱雑になってしまうという悩みがありましたので質問させていただきました。


A2

私のいう答案構成力における答案構成の内容はCurryさんのイメージ通りです。答案構成力というネーミングより、法律構成力というネーミングの方がいいかもしれませんね。

答案を書く際に行なう答案構成については私もかなり悩みました。詳しく作成しておかないとせっかく考えた内容をいざ書くというときに忘れてしまったらいやだし、だからといって詳細なものを作成すると書いている時間がなくなってしまいますよね。そこでいろいろ工夫してみたのですが、最終的には、答案構成は目次と言いますか、議論の骨格、骨組み部分と書く内容のキーワード程度にして、メイン論点と思われる(長くなる)当てはめ部分の事実の評価や現場思考型の法律論などだけある程度詳細に書き記しておくことにしました。答案構成用紙に書く文字数を出来るだけ減らすことで書く時間を確保出来るようになりますし、目次を立てておけば、議論の順序がごちゃごちゃになるということも防げますし、上記のような評価部分や法律論でなければ、メモがなくても書けるからです。ですので、おっしゃる通り、普段は丁寧に議論を積み重ねて行くことをしっかり訓練しておいて、その訓練によって、本番では目次と簡単なメモで答案作成ができるようにしておくとよいかと思います。


Q3

はじめまして。いつも参考になる記事を有難うございます。
本年度の過去問を検討してまして非常に困っていまして質問させて下さい。
本年度の民事系科目第1問設問2①の「発行された株式の効力」の部分についてです。
この部分について以下のように検討してしまいました。
誤っている部分を指摘してくだされば幸いです。

問題文3の第1段落において、Bは株式の一部を譲渡している。
そして問題文においてその新たな株主に対して通知(会社法201条3項)している事情はない。
そして本件発行は、「不公正な方法」に該当し、その株主が不利益を受けるおそれがある(210条2号)
よって、差し止め事由があるのに通知してないから無効である。

やはり、ここは問題を見た瞬間前段部分との絡みで聞いていると判断しなければないなかったのですかねぇ・・・
非常に落ち込みます。


A3
確かに、問題文に掲げられた事実からは、通知(会社法201条3項)がされているという事情は示されていませんね。しかし、通知を欠いたとは書かれていません。ということは、通知がないことを前提にしなさいよ、というメッセージは、問題文にはないのではないかと思います。私が過去問を検討した限りでは、新司法試験においては、そこに明示されたストーリーに即して議論を組み立てることが要求されていると考えられました。本文のストーリーには、通知を欠いたという事情は登場していないと思います。通知の有無は問題文に明示されていないifの部分でしかありません。しかも、通知を欠いたことは、原則として無効事由になりますが、差止め事由(会210条)がなければ無効になりません。そして、本問には、差止め事由に該当するような事実は示されていないように思われます。山さんは本件の発行を「不公正発行」と捉えたようですが、本当にそういえるでしょうか?基本書で「不公正発行」とは何かを確認してみてください(江頭2版691pでは、「不当な目的を達成する手段として募集株式の発行等が利用される場合」とされています)。そうすると、本件では、通知を欠いたことが無効にはならないことになりますので、余計にこれは問われている事柄ではないだろうと考えることができると思います。

さらに、会社法は平成21年で、前の設問が次の設問に解答する前提になっているケースがありましたので、今回もそうではないか?と一応考えてみる、ということも大事だと思います(前提になっているはずだ!と思い込むのはダメです。あくまでも、もしかしたら?と考えてみるだけ)。私は実際そのように考えてみました。

とりあえず、本件の私の思考パターンを示しておきます。

1.形式的問いの把握
 ①本件募集株式の払込みの効力(a)及び発行された株式の効力(b)、②A、B及び丙社が甲社に対して負担する責任(c,d,e)、③A及びBが乙銀行に対して負担する責任(f,g)。大きく分けて3つ(①ないし③)、細かく分けると7
つ(aないしg)。

2.実質的問いの把握(論点抽出)
 株式の払込みの効力が問題になっている。本件では、金を借り入れてすぐ返すということをやっているから、見せ金が問題になりそうだ、と思う。
 次に、株式の効力。株式の効力といわれれば、新株発行無効の訴えの話(既に発行されているので、差止めの話ではない。そもそも「効力」の話なので、差止めが関係ないのは当たり前だけど)。そうすると、無効原因があるかどうかが問題だ。今検討した、見せ金には、それが無効原因になるかどうかという問題があって、江頭に見せ金は無効原因にならないと書いてあったな(江頭2版698p)。じゃあ、やはり見せ金が無効原因になるかどうかが聞かれているんだろう。わざわざ①として「払込の効力及び株式の効力」としていることからしても、払込みの効力と株式の効力を関連付けて論じることを求めているのだろうし、これでいいだろう。

といった具合です。そこに示されたストーリーを答案に反映させる意識を持てば、そのようなifの部分にひっかかることはないのではないでしょうか。


Q4


今回の記事に関して質問です。演習書の使い方なのですが、①問題文を読む→すぐに解説を読むという方法と、②問題文を読む→答案構成をする→解説を読むという方法がありますが、どちらが良いのでしょうか。
①はいわば演習書をインプット素材として使うという発想です。はじめのうちは基本書の該当箇所を読んだ上で演習書の問題文を読んでも、せいぜい「○○が論点になりそうだ」程度のことしか分かりません。とすれば、①は知識の使い方・問われ方を学ぶという意味では有益だと思います。しかしその反面、答案構成をする力や答案を書く力はあまりつかないようにも思います。
1回目は①の方法をとって、2回目以降は②の方法をとってみる方法もよいと思うのですが、いかがでしょうか。


A4

問題を読んですぐ解説を見るという手法を取られる方もいますし、実際にそれで効果があると主張し、事実として結果を出している方もいるようです。しかし、私はそのようなことはあまりした記憶がありません。
 といいますのも、まずは問題文を読んで、どんな議論になるか自分なりの思考をしてみて、その後に解説を読んで、自分の思考を修正していくという作業が重要だと思ったからです。学習の初期の段階では間違えてばかりですが、そのような失敗を経験するからこそ、この考え方はダメなのだ、と意識付けできて、思考方法を修正し、次からそのような誤った考え方をしないで済みます。やってしまった間違った考え方は、その当時の自分が自然にしてしまう考え方である可能性が高いので、放って置けば、その誤った考え方のままの思考パターンを繰り返してしまうおそれがあります。自然に出てしまう自分になじんでしまっている思考は、なじんでしまっているが故に、そのような思考方法はダメなのだと強く意識的に修正しようとしなければ、改善することは難しいと思います(大学受験時代の勉強方の本の数学や現代文などの思考系の勉強方のところに似たようなことが書いてありました)。
 これに対して、問題文を読んで自分なり考えずに解説を読んでしまうと、そこから正しい思考方法は学びとれるかもしれませんが、自分がその当時持っていたかもしれない誤った思考方法を自分で認識することができません。そのため、自分の誤った思考について、これはダメなんだ、改めようという意識付けをすることはできません。その結果、そのような誤った思考方法がふとしたところで出てきてしまうおそれがあるように思います。そのため、私は、必ず自分なりに考えてから解説を読んでいました。本番で失敗しないために、それまでに沢山失敗を経験して、それを1つ1つ修正していくことが大事だと思っていたのです。
 確かに、学習の初期段階では、大した思考はできず、なんとなくこの論点か?としか思いつかない場合もあります。しかし、その場合でも、なぜこの論点だと思えるのか?などは考えられると思います。もし、あまりにも知識がなさ過ぎて問題がさっぱりな場合にも、問題集の解説に進むのではなくて、基本書の該当部分(と思われる部分)に戻ってみて、それからもう一度問題について考えてみる、という風にした方が、思考力養成・事案分析力養成にはよいのではないかと思います。
 2度目に自分で考えてみるという手法ですと、すでに問題の概略を把握してしまっているので、どうしても問題文の事実だけから思考を積み重ねるという作業は出来ません。記憶にひっぱられたりしてしまいます。ですので、1度目に自分で考えてみる場合と同じようにはいかないので、やや効果が薄いのではないかと思います。ただ、問題を解く際に、きっちりと「~という事実がある。この事実は・・・という意味を持つから、・・・という論点が抽出できる」などと、しっかりと理由付けて記憶に頼らない思考をしていけるのであれば、正しい思考方法の修得という点では効果は十分にあると思います。

そうすると、両者の選択の要は、「有しているかどうかもわからない、しかもあったとしてもそれが司法試験で悪影響を及ぼすかどうかもわからない誤った思考を、仮にあった場合には修正する、ということのために時間を避くかどうか」ということになるのかもしれません。

日常的学習その3

6.講義の予習復習


 ロースクールでは、講義の予習復習に相当な時間を割かれることになります。予習復習を怠り成績が悪くなれば、大手の就活には悪影響が出ます。かといって、予習復習で手一杯になって新司法試験を見据えた学習時間を取れなければ新司法試験の結果が悪くなってしまい、元も子もなくなるおそれもあります。
 私自身は、ロースクールの成績は1桁順位で、新司法試験の成績は2桁順位だったので、上手く両立させることが出来た方だと思います。 
 私なりの工夫としては、日々の予習を、できる限り新司法試験の成績を向上させることに直結させるように勉強内容を組んでいたことがあげられます。そのために、まず、新司法試験で求められるものは何かというものを早めに探り出して(あるべき姿の模索)、それに近づけるような学習方法になるように工夫するといいと思います。といっても、私自身ロー1年の当初からそこまで徹底できたわけではありません。1年生のときには新司法試験の過去問を検討するといったことはしていませんでしたので、旧司法試験の過去問検討から得られたあるべき姿にたどり着けるように工夫してしました。これでも法律の解釈論の部分などは十分新司法試験に活きる形での学習になったと考えています。たとえば、法律の制度の趣旨や本質をしっかり理解して、条文と趣旨や本質から解釈していく態度、またはそのような視点で論点を分析していく学習態度は1年生のころからやっていました。また、日々の予習は、たとえば、配布されたレジュメをこなすだけ、などにしないで、基本書の該当範囲は講義で扱わないところでもしっかり読んで考える、該当範囲の肢別本を解いてどのような知識が問われるか把握しておく、といったことを行っていました。また、信頼できる教授が、「新司法試験は法律構成が重要で、これは今のうちからしっかり訓練しておかないとどうにもならない」とおっしゃっていたので、学習の初期段階から演習書等を利用した法律構成の訓練(前の記事で私が「事案分析力」とネーミングしているものです)を意識的に行っていました。たとえば、憲法が判例読解の講義だとすると、事前に基本書でその判例を読み解くのに必要な憲法論をまず学び、次に、判例を読んで自分なりにその事案の概要とそこからどのような事実がどういう意味を持ったが故に裁判官がそのような法律構成をしたのかを把握して、その判例のロジックを読み解くなどの作業を行った上で、その判例に関連する旧司法試験の問題がないかを探してみて、それが見つかったらその問題を解いてみる、といった具合です。ここまでやっておくと、講義において教授の講義内容からあるべき思考方法を読み取る(盗み取ると言ってもいいかもしれません。教授は「このように考えるんだ」ということは教えてくれません。教授の講義から教授がどのような思考方法を取っているかを見抜いて自分のものにするといった具合です)ことができて、自分の予習のときの思考方法を修正することが出来ます。このように、予習の際に自分でできる限り考え抜いておくと、講義を利用して非常によい思考訓練ができるのではないかと思います。判例読解の講義だから判例しか読んでいかないという人が相当程度見受けられましたが、そのような態度では講義を活かしきれず、どちらにしろ行わなければならない予習の時間が無駄になってしまってかえってよくないように思います(中には思考訓練にすらならないような講義もありますが)。

 予習・復習に時間を掛けすぎると試験対策ができなくなるので、ある程度の見切りは必要です。しかし、ロースクールの講義も使い方・利用法によっては、新司法試験には相当活きてくると思います。周囲を見渡しても、ロースクールでの学習を頑張ってきた人は新司法試験の成績もよいので、昨今の思考力重視の傾向には、ロースクールの講義を利用した思考訓練をどれだけこなしてきたかが相当に影響してくるのではないかと思います。そこで養成された思考力が、新司法試験における「底力」になるのではないでしょうか。その意味で、本格的な試験対策を始める3年秋学期以前までに、どれだけロースクールの講義を利用して思考訓練を行ってきたかというのもが相当にものを言うのではないかという感想を持っています(もちろん、ロースクールの講義を使わなくても、思考訓練はできますが、どちらにしろ講義は受ければならないのなら、その時間をできる限り活かすのがよいだろうということです。)。その観点からも、本格的な択一対策や論文対策に移行する前の日常的学習が大事だろうと思います。この記事を執筆したのも、そのような思いがあるからです。



7.論文読み


講義の予習や復習の際、あるいは、問題演習をしている際に、基本書当の手持ちの資料ではよくわからなかったときには、論文を読んだりもしていました。一部の学生向きのものを除くと、論文を読んでそれがそのまま新試に使える知識になる、という訳ではないのですが、それを読み解くことがかなり思考訓練になったのではないかと感じています。
 わからないものをわからないままにしておくと、いつまでたってもわからないままになってしまいます。ですので、参考文献などが挙がっていたら、積極的に目を通してみてもいいと思います。たとえば、民訴では、高橋重点講義で注にあがっている文献によく目を通していました。闇雲に読むのではなく、「~の部分の理解をしたい」といったような目的をもって文献を選び出してそれを読むことは、急がば回れという感じで、時間はかかりますが、よい結果に繋がるように思います。
 ただ、どうしてもわからない場合には、他の優秀な友人に何人か聞いてみて、その人たちが分からないといったらもう分からなくてもいいという見切りも必要だと思います。相対試験なので、優秀な受験生がわからないようなことを自分がわかっている必要はさしあたりないといえるからです。そのような見切りをしていって、調べものにあまりにも大量の時間を掛けすぎるということはやめたほうがいいと思います。





8.終わりに

以上で、日常的学習についての話を終えたいと思います。この一連の記事は、ここで示した方法を採る採らないは別として、具体的な択一対策や、具体的な論文対策にうつる以前に、このような様々な工夫の余地があるのだ、ということを知ってもらえればいいと思って執筆してきました。ご自身の普段の学習態度や工夫と比べていかがでしたでしょうか?もし成績が今ひとつ伸びないと悩んでいる方で、このような工夫をあまりしていないのであれば、成績が上がらないのは貴方の素質が足りないからではなく、単に勉強の工夫・ノウハウが足りていないだけだと思います。自分には力がないと諦める前に、いろいろ工夫をしてみてください。きっと道は開けると思います。
 私自身のロースクールの成績も、新司法試験の成績も、3年前のロー入学直前の自分に伝えてあげたら「ウソだ、おれにそんな力はない」と決して信じなかったと思います。最初から頭が良かったわけでは決してありません。そのような状態から、ここまでの結果にたどり着けたのは、ここに示したような目的意識を持った戦略的学習を3年間地道に積み重ねててこれたからに他なりません。みなさんも、正しい(と思われる)努力を積み重ねていければ、きっとよい結果が出せると思います。この一連の記事がその一助になれることを祈って、日常的学習の記事を終えさせていただきたいと思います。お読みいただきありがとうございました。

日常的学習その2

4.択一知識の確認

(1) 必要な知識の定着

私は、基本書を読んだら、その該当範囲の択一の問題を解いていました。outputの機会を積極的に設けることで、「必要」な知識の定着が図れるし、択一の勉強にもなるからです。択一で問われる部分から逆算して、教科書の中で覚えるべき部分、理解すべき部分にてっとり早くあたりをつけていくことができますので、とりわけ未知の法分野を勉強していく際には有益だと思います。択一対策にもなるのですが、純粋な択一対策として行ったわけではありません。「必要な知識を定着させる」ことに主眼がありました。ですので、この勉強をしていたのは、ロー1年~ロー2年の頃までです。純粋な択一対策といいますか、本格的な択一対策を始めたのは3年秋からでした。

(2) 基本書・判例集に戻る

択一の問題集(肢別本)などを解くときには、その問題集の解説はあまり読まず、基本書・判例集に戻って知識・理解を確認していました。その方が、何度も「同じ」情報に触れることになるので、定着率が高くなると考えたからです。また、問題を解く当たっては、正誤以上に、理論問題では、なぜそうなるのかという理由をしっかり理解すること、条文問題などの単純な知識問題では、その知識を聞く出題趣旨は何だろうか?ということを意識していました。そうすることで、単なる詰め込み作業になることを回避し、あくまでも「理解」を重視した勉強にすることができるのではないかと考えたからです。




5.演習

(1) 概略

論文問題を用いた演習です。演習の目的は、①論点の理解、②事案分析力の訓練、③答案構成力の訓練、④書く訓練、⑤あるべき姿の模索、にありました。


(2) ①論点の理解

私は、論点は基本書や論文などを読むだけでなく、事例問題による演習を行うことでよりよく理解できるように感じていました。どのような事実関係の場合に、どのようにある論点が問題となるのか、そしてそれに対する様々な解釈がどのような実益を持つのか、ということがイメージしやすく、ゆえに理解もしやすいからです。そう考えていたので、私は、理解が不十分な学習の初歩の段階から、どんどん事例問題(旧試験の過去問が主)を解いていました。その際には、論点の射程、論証の注意点、あてはめのやり方などを意識的に学んでいました。
 学習スタイルとしては、基本書や判例などをしっかりと理解するまでは問題演習はしないという方もいるようですが、私は、教科書で軽く目を通したらその該当分野の問題を解いてしまってよいと思っています。演習を通じて理解が深まりますし、また、次に基本書を読む際にも、演習の際に生まれた疑問を持って読むことができるので、ただ情報を流し込む読み方ではなく、自分の必要とする情報を意識的に探していく主体的・攻撃的な読み方ができると思うからです。


(3) ②事案分析力の訓練

これは論点の抽出の訓練です。論点の抽出は、問題文中のどのような「事実」から、「なぜ」そのような論点が抽出できるのか、ということを「理解」することに意識を置いていました。この思考のプロセスは、そのまま答案に問題提起として反映させることになります。つまり、問題提起は

本件には~という事実があるから、・・・という法律上の問題がある

という形式になるわけです。このような形式で問題提起ができることが「あるべき姿」であろうと考えられましたので、演習書等の解説を読むときはもちろん、教科書で論点を学ぶときにも、どのような場合(=どのような事実があるとき)にこの論点が生じるのだろうというところを意識的に読み込んでいました(あるべき姿からの帰納)。
 そして、論点の抽出が上手くいかなかった場合には、どうして抽出できなかったのか、どういう思考方法をとっていれば論点を抽出できたのか、そのような思考方法を習得するためにはどうしたらよいか、ということを考えてみて、そこで思いついた方法をとりあえず実行することにするということを意識的に行っていました(参照、http://roguyomi.blog33.fc2.com/blog-entry-65.html)。問題演習をするときに、足りなかったり不正確だった知識の穴埋め(復習)をするだけでなく、このような思考方法の穴埋め・修正といったことも行うことが事案分析力を高めることに繋がると思います。いくら基本書や判例を読んで知識(条文・論点)を詰め込んでも、それを運用する思考枠組み・思考方法がしっかりしていなければ、せっかく詰め込んだ知識を上手く使いこなすことはできないからです。知識はあるけど、どうも論文問題が解けない、という悩みを抱えておられる方は、このような思考方法の修正・穴埋めを意識的に行うことをおすすめしておきます。そして、思考方法の穴埋めの仕方としては、実際にどのように考えていけばいいのか、という思考プロセスの解説がある演習書や教科書を利用するのが一番手っ取り早いです。たとえば、旧司法試験のLIVE過去問(憲法、貞友民法、民訴)や、佐久間「民法の基礎」などです。他には、ゼミを組んで問題演習をするときに、自分には抽出できなかった論点を正確に抽出できた人に、どのような事実からどのような理由でその論点を抽出したのか聞いてみて、その人の思考方法を学び取るという方法もあります(ゼミを組む意味の1つはこの作業ができることだと思います)。思考プロセスの解説がなかったり、ゼミを組んでいたりしない場合には、とりあえず自分で思考方法を修正する必要があります。自分だけで考えるので、それが常に正しい思考方法へ修正できるとは限りませんが、とりあえず、その問題については解答できる思考方法を定立しておけば足りるだろうと考えていました。たとえば、単純な例を出すと、民法において、不動産明渡請求の事案で、土地占有者の留置権の抗弁を抽出できなかったときには、「他人の土地の占有者が土地を明け渡せといわれているときには、留置権の可能性も考える」といった程度のものでも、次からは留置権の抽出に失敗しません。
 

(4) ③答案構成力の訓練

これは必要な議論を、網羅的に、議論の出発点から論理的な順序・関係に即して組み立てていく訓練です。これは事例問題を解いて訓練しなければなかなか身につかない力だと思います。議論を組み立てていく際には、結論を出すにあたり論ずべきことを一つ一つ丁寧に、省略したりしないで積み重ねていくことを意識していました。ここは論理的思考力が問われる部分だと思います。


(5) ④書く訓練

これは、自分が考えた内容を読み手に正確に伝えられる文章力と、ナンバリング・項目分けといった答案の構成を洗練させる訓練です。どのように書くかということにはいろいろな方法論やノウハウがありますが、まずは、自分の思考を正確に伝えられる文章を書けるように意識することが大事ではないかと思います(そして、今回の自分の結果を見るかぎり、さしあたりそれで足りるようにも思います)。人に答案を読んでもらって、答案に書いてあることの意味が分かるかどうかチェックしてもらうのもよいと思います。読んでもらった人に、この部分はどういう意味なのか?と聞かれてしまう場合には、自分の思考が読み手に素直に伝えられていないということが分かるからです。ですので、ゼミで答案を読んでもらうときには、法律論の是非をチェックしてもらうだけでなく、自分の思考が伝わるかどうかチェックしてもらうということがとても有益です(これもゼミを組む意味の1つだと思います)。
 ナンバリング、項目分けは、より読みやすい答案にするために行うものです。そのやり方は、前述した山島「法律答案の構造的思考」が参考になります。とはいえ、それほど点数には影響しないような印象があります。


(6) ⑤あるべき姿の模索
旧司法試験の過去問を解くときにA評価の再現答案を分析することで行います。その際には、前述した永山「論文の優等生になる講座」が非常に役に立ちます。これに対し、新司用の演習書は、模範解答などがなく、あっても冗長なものが多いので、それが「あるべき姿」にはなりえないものが多いように思われます。私は、旧試と新試の過去問以外では「あるべき姿」の模索は行いませんでした。最終的には、新司法試験の過去問と再現答案に出題趣旨やヒアリング、採点実感を用いて「あるべき姿」の模索をすることになりますが、学習の初期段階では、まず旧試の過去問を利用して「あるべき姿」の模索を行って勉強すると、着実に実力を養成できてよいと思います。


(7) 補足

論文問題を使った演習では、多くの場合時間を計って行うと思います。確かに、一定の時間内に答案構成をしたり、答案を書き上げる訓練も重要です。しかし、同時に、論文問題について徹底的に考え抜く訓練も重要であると思います。とりわけ、昨今の新司法試験は思考力重視の試験になっていますので、徹底的に考え抜く訓練を沢山して思考力を養成しておくことが肝要だと思います。ですので、時間に厳密な制限をかけることなく、考えぬく思考訓練としての論文問題演習の時間もできるだけとると良いと思います(そのような作業はローの講義の予習をてっを抜かずに考え抜くことによって行うという手もあります)。ただし、自分一人で考えていると、変な方向に行ってしまったり、議論の本質や大筋、大局を見失ってしまうこともあるので、ゼミを組んで意見を出し合いながら考え抜いてみたり、自分が何を考えているのかわからなくなったり混乱してしまったときには、そもそも問題の所在は何で、条文の趣旨は何で、どんな利益を守るための議論なのかといったところまで一旦議論を戻してから、それらを念頭にもう一度議論を進めてみるといった工夫をする必要がでてくると思います(ローの講義で思考訓練をする場合には、分からなくなったら教授に質問できるので効果的です)。
 思考力は、一朝一夕に身につくものではなく、このような思考訓練を地道に積み重ねることによって、少しづつ、しかし、着実に養成されるものではないかと感じています。ロースクールの講義の予習に手を抜かず、考え抜いて講義に望むことを3年続けたことは、この思考力の養成に役立ったと確信しています。


長くなってしまったので、とりあえず一旦ここで切ります。
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ログヨミ

Author:ログヨミ
判事補。
https://twitter.com/roguyomi34

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