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勉強時間

勉強時間については、今まで述べてきた方法論以上に個人差があると思いますが、一応、私見を。


1 時間を確保する

 新司法試験は、範囲が膨大であることから、勉強時間はできる限り多く取る事が肝要です。人にもよりますが、講義の予習・復習、講義の時間を含めて、一日におおよそ8時間程度は最低限確保する必要があると思います。純粋未修の方であればもっと必要かもしれません。8時間以上勉強できるのであれば、そうすべきでしょう。質を落とさず量を増やせるなら、増やすべきです。
 後述のように、休養を入れることが不可欠ですが、それでも、1月の勉強時間の週あたりの平均時間が50時間を切るようではどうにもならないでしょう。少なくとも、普通の人間にはそれで合格するのは困難だと思います。この道を選んだのならば、覚悟を決めて勉強する必要があるように思います。
 上位合格を目指される方に対して一つメッセージを残しておくと、勉強時間は多いに越したことはないにしろ、ただ増やせばいいというものではありません。既に掲げた1日8時間は必須だと思われますが(常人には)、それ以上は、増やしてもあまり効率が良くないように思います。私の知人の1桁合格者も、一日8~9時間程度でした。頭がしっかり回る状態で質の高い勉強することが大事だと思います。休むときにはしっかりと休んで頭を休めて、毎日8時間きっちり効率的な勉強が出来るようにするのがまずもって大事なような気がします。


2 無駄な時間消費をなくす

 自分の勉強時間は、意外と把握できていないものです。ストップウォッチなどで計測してみてください。思っていたよりも少ないことが分かると思います。自分は10時間は勉強しているはずだ、と思っていても、実際には7時間程度ということもザラにあります。自分の生活を見つめなおして、削ってもいい無駄なことをやっている時間を見つけ出し、その時間を勉強時間にあてるとよいと思います。たとえば、だらだらインターネットをやったりテレビをぼんやりと眺めるような時間は、長くやりすぎると無駄な時間消費になってしまいます。


3 休養をとる

 勉強時間を確保するのは大事なことですが、毎日毎日8時間勉強すると、疲労やストレスが溜まってしまいます。そこで、週に半日~1日くらいは完全休養をとるといいと思います。これは単に体を休められるだけでなく、そのような休養日に好きなことをできるから今日は頑張る、といように気力が湧いて勉強できる、という利点もあります。全体的に見れば勉強時間を確保する上でも有効な仕組みだと思います。司法試験は苦行ではないし、ストイックに勉強すれば受かるというものでもありません。受かるための勉強が苦しいのは確かですが、無駄に苦しむのは逆効果です。適度に休養をとるのは勉強をすることと同程度に大事なことだと思います。
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要件事実の重要性

修習をしていると、要件事実の重要性がとてもよく分かります。
修習でよい成績をとるためにも重要ですが、
その後民事系の実務につくにも非常に大事な力になりそうです。
実務に出たら証拠を集めるのが大事といわれますが、
要件事実論に沿って、立証対象をしっかり把握しないと
有益な証拠を集めることはできないでしょうし。

それもふまえると、要件事実論の詳細はともかく、
基本的な発想は受験生時代に身に着けておいた方がよさそうです。
今の新司法試験自体、要件事実論の発想で解ければ解きやすい問題や
要件事実プロパーの問題も出題されていますからね。

だからといって、要件事実論30講や要件事実問題集を解く必要はないですけど。
旧司法試験の問題や、他の演習書なりを、要件事実で主張整理するような形で解いていけばいいかと思います。
思考プロセスとしては、

① 当事者が何をしたいのか、何を求めているのか、というところから、訴訟物を決定。

② 訴訟物が決ったら、請求原因(要件)、さらに、当事者の生の主張や事実関係から、抗弁、再抗弁等をピックアップ
 ⇒ 何が要件事実かは実体法上の解釈によって決まる。そこで、ここで要件の解釈も行われる。

③ 要件事実にあたる事実(主要事実)をピックアップする

④ ピックアップした主要事実が、なぜ要件に該当するのか理由を考えて書く。

⑤ 結論を出す。

今年の問題をみると、何が間接事実になるか、というところまで考えておくのもよさそうです。そのためには、まず、何が主要事実にあたるのかをしっかり把握して、その主要事実の存否に影響を与えそうな事実は何か、という観点から問題文を探していくことになります。間接事実は主要事実の存否に影響を与える事実である以上、主要事実が何かがしっかり定まって初めて、どれが間接事実にあたるかが判明することになります。

そうすると、構図として

訴訟物⇒主要事実⇒間接事実

というものになるわけですね。訴訟物が決ると主要事実が決まり、主要事実が決ると間接事実が決まるわけです。訴訟物が決らなければ、何が主要事実かが確定されないし、何が主要事実かが決っていないと、どれが間接事実にあたるのかが決らないわけです。したがって、まず何よりも重要なのは、訴訟物が何かを確実に見定めることです。二回試験でも、訴訟物を間違ったら確実にアウトです。集合修習の起案の講義でも、訴訟物が何か、というところの解説を1時間くらいかけてやることもあるそうです。そのくらい大事だということです。次に、その訴訟物を発生させる要件事実(主要事実)は何かをしっかり決められる力があることが必要です。ここは民法の解釈論の力ですね。地道に教科書、条文、判例集を読み込み、問題演習を積み重ねながら身に着けていく部分です。そして、請求原因、抗弁、再抗弁などの主要事実が決まれば、各主要事実の存否に影響を与えそうだと思える事実を探して、何故どうして影響を与えるのか、なぜどうしてどの程度影響をあたえるのか、を考える訓練をすればOKということでしょうか。 

請求原因を考えるときには、常に訴訟物との関係で考えること、抗弁を考えるときには、訴訟物と請求原因との関係で考えること、再抗弁を考えるときには、訴訟物と請求原因と抗弁との関係で考えること。間接事実を考えるときには、立証したい主要事実との関係で考えること。常に、今何を指針(訴訟物、主要事実)にして考えればいいのかを念頭において問題に取り組むのが大事だと思います。


論理

前回の記事もそうですが、今回の記事も、わかっている人には今更言われるまでもない当然の話だと思います。しかし、当たり前のことを当たり前にこなせば受かり、当たり前のことを当たり前にこなせなかったから落ちるのが司法試験です。おそらく、成績が伸び悩んでおられる方は、このような当たり前のことが当たり前になっていないことが多いのではないかと思います。これらの記事は、勉強の最初の一歩のような話ですが、最初の一歩の方向が誤った方向を向いていれば、いつまでたってもゴールに向かっていけません。常に、自分の進行方向が正しい方向に向いているのか、チェックすることを心がけてみるとよいと思います。とりわけ、このような基本的な話であればあるほど、難しい勉強に意識を注いでいくうちに、いつの間にか忘れてしまっていることが多いものです。気をつけてみてください。


(1) つなぎ
趣旨や本質からの論証をする場合、そのような趣旨や本質と結論をつなぐ部分が「論理」になります。この「つなぎ」がなければ、「論理」を示したとはいえません。例えば、以下の2つの論証例を見てください。

A 民法96条3項の趣旨は、取消しの遡及効により第三者がその法的地位を覆されるのを防ぐことにある。
  したがって、「第三者」とは、取消前の第三者をいうと解される。

B 民法96条3項の趣旨は、取消しの遡求効により第三者がその法的地位を覆されるのを防ぐことにある。
   そして、取消し後に登場した第三者は、取消しの遡及効によりその法的地位を覆されることはない点で、右の趣旨が及ばない。他方、取消し前に登場した第三者は、その法的地位が取消しの遡求効で覆される点で、右の趣旨が及ぶ。
  したがって、「第三者」とは、取消前の第三者をいうと解される。

Aの論証は、予備校の答案などでよく見られるパターンです。民法96条3項の趣旨から接続詞1つで直ちに結論を導いています。しかし、Bの論証と比較すれば、趣旨を示しただけでは、そのような結論になることの理由が不足していることが分かると思います。これでは「論理」を示したとはいえません。Bのように論じてはじめて「論理」を示すことができます。つまり、「そして」から始まる一文の部分が「論理」になっている訳です。
(2) 試験本番
 試験本番では、時間の制約から、常にBのように書くことはできません。しかし、少なくともメインの論点については、B程丁寧にしないまでも、「論理」の部分を書く必要があると思います。また、現場思考で解釈をしなければならない問題では、当然、趣旨や本質から結論を導く「論理」を示す必要があります。
(3) 日常学習
さらに、普段の学習で、判例や学説の解釈を理解する上でも、判例・学説が、趣旨や本質からどのような「論理」で結論を導いたのかをしっかりと理解する必要があります。普段から、ここでいう意味の「論理」をしっかりと分析していれば、法解釈のコツのようなものが少しづつ身についてくると思います。そうすれば、初見の論点に対する判例・学説の理解のスピード・精度も向上していきますし、本番の現場思考型の問題でも、趣旨から論理的に解釈論を展開できるようになってくるはずです。
 ご自身の答案で展開されている論証がAのようになっていないかどうか、あるいは、教科書や判例で論点を読む際に、自分がきっちりとBのような論証ができるような「論理」の理解ができているかどうか、確認してみてください。

規範の意味を理解する

大した話ではありませんが、要望もありましたので、
一部アップしておきます。


(1) 正確なあてはめ
採点方針・出題趣旨・ヒアリング・採点実感等からすると、新司法試験では、あてはめに多くの点数が振られていることが明らかです。したがって、正確なあてはめができることが合格に必要不可欠です。
正確なあてはめができるようになるために大事なことは、「規範の意味を理解する」ことであろうと思います。規範の意味が正確に理解できていれば、事実のピックアップ・評価共に、最低限のことはできます。再現答案を分析した限りでは、それで合格ラインには達すると思われます。不合格になるのは、あてはめで何をするのかが理解できておらず、内容が間違ってしまっている答案です。
あてはめが正確であるということを超えて、あてはめの巧拙という点は、合否の分水嶺ではなく、上位合格かどうかの分水嶺にすぎないと思われます。上手なあてはめが出来るに越したことはありませんが、まずは規範の意味を正確に捉えるところから初めて、それが十分修得できてから、より巧みなあてはめができるように、段階的に学習していくと良いと思います。抽象的に言っても理解しがたいと思いますので、以下いくつか具体例を踏まえながら説明します。
(2) 具体例
ア 憲法(違憲審査基準-手段審査)
手段審査の内容は、①適合性、②必要性(、③均衡性)です 。①は、当該法律の手段が目的達成に役立つかどうかということで、②は、当該法律の手段と同程度以上に目的を達成でき、かつ、当該法律よりも権利侵害の程度の低い他の手段があるかどうか、ということです。そして、中間審査以上のいわゆる厳格な審査の場合にのみ、②の審査も行うことになります。
 このことを理解していれば、手段審査では、①当該法律が目的達成に役に立つのかどうかと、場合によっては、②当該法律と同程度以上に目的達成できるより権利侵害の少ない手段がないかどうかを論じればよいことがわかります。そうなれば、①では、当該法律が目的達成に役立つかどうかに関わる事実にフォーカスして問題文を見ていくことができますし、②では、権利侵害の程度に関わる事実にフォーカスして問題文を見ていくことができます。それによって、意味を持たない事実に惑わされることなく、意味を持つ事実だけをピックアップしやすくなるでしょう。
事実をピックアップしたら、次は評価です。①では、適合性とは要は役に立つかどうかだと規範の意味が理解できていれば、それぞれの事実が目的達成に役立つ・役立たないのどっちを基礎付けるのか、その理由を考えて、それを書けばよいということがわかります。その理由がいわゆる「評価」になります。ここから、「評価」は、規範の意味が理解できていれば、やりやすいことがわかると思います。

イ 民法・会社法(規範的要件)
民事系は刑事系や憲法に比べればあてはめはそれほど重くないようです。例えば、民法96条3項のように、「第三者」が取消し前の第三者、と解釈できてしまえば、後は取消し前に登場したかどうかという直接的な事実だけであてはめが済んでしまうような論点が多いからでしょう。民事系のあてはめで問題になってくるのは、このような直接的なあてはめができない、過失などの規範的要件です。
 そこで、それぞれの規範的要件の意味をしっかりと理解して、評価根拠事実・評価障害事実をピックアップし、評価していくことになります。例えば、民法192条の即時取得の「過失」では、①調査確認義務の存在と②調査確認義務の懈怠 を論じるとしっかり理解しておけば、①②を基礎付けそうな事実がないか、という目で問題文を分析できます。事実がピックアップできたら、その事実がなぜ調査確認義務の存在を基礎付けるのか、なぜ調査確認義務の懈怠を基礎付けるのか、その理由を考えて書けばよい、ということになります。
 民法では、他に、背信的悪意者の背信性、表見代理の正当な理由など、会社法では、職務懈怠や過失など、様々な規範的要件があります。規範的要件を見つけたら、その都度、その内容をしっかりと理解しておくとよいと思います。

ウ 刑法(共謀共同正犯)
刑法では、毎年下位規範やメルクマールがある論点がメインの論点として出題されているという傾向があります。そこで、下位規範やメルクマールのある論点はしっかりと学習すること、その際、単に規範だけ覚えるのではなく、下位規範・メルクマールも覚えること、が重要になってきます。
 例えば、共謀共同正犯と幇助犯の区別は、正犯意思(自己の犯罪を行う意思)の有無によるというのが裁判例の立場です。そして、正犯意思の有無の判断に当たっては、①共謀者と実行行為者の関係、②犯行の動機、③共謀者と実行行為者間との意思疎通行為の経緯・態様・積極性、④実行行為以外の行為に加担している場合はその内容、⑤犯行前後の徴表行為の事情に犯罪の性質・内容などを考慮して判断するとされています 。このように確立したメルクマールがある場合には、これを覚えて、このメルクマールにあてはめながら、最終的な規範である正犯意思の有無を論じていくことになります。メルクマールを覚えておくことによって、①ないし⑤に関係ありそうな事実はどれか、という目で問題文を分析できますので、あてはめに必要な事実を洩れなくピックアップしやすくなると思います。

エ 刑事訴訟法(任意捜査の限界)
刑事訴訟法の捜査では、毎年比例原則のあてはめが聞かれています(任意捜査の限界、必要な処分)。任意捜査の限界を例にとってみましょう。規範は、「必要性、緊急性なども考慮したうえ、具体的状況のもとで相当と認められる限度において許容される」というものです。誰もが書ける規範だと思いますが、誰もがその意味を理解できているわけではないようです。この規範が、比例原則を根拠にしている ということが理解できていないと、この規範が比較衡量を行うものだ、ということが分からないまま、適当にあてはめてしまうことになります。そのため、たとえば、相当性では、手段が社会的に相当だといったようなマジックワード的な表現でお茶を濁して終わってしまうということになってしまいかねません。
 これに対して、この規範が比例原則を根拠としており、したがって、当該行為により得られる捜査上の利益と対象者の被侵害利益との利益衡量を、必要性緊急性という指標を使いつつ評価するものだ、ということが理解できていれば、まず、①当該行為により得られる捜査上の利益に関わる事実を探し、次に、②当該行為により失われる対象者の利益に関わる事実を探せばよい、ということがわかります。そして、事実をピックアップしたら、①その事実がどのような理由でどのくらい当該行為の利益を基礎付けるのか、②どのくらい失われる利益を基礎付けるのか、を論じ、両者を比較衡量すればよいとわかります。

(3) まとめ
このように、規範の意味が理解できていれば、少なくとも間違ったあてはめをやってしまうことはないし、最低限の事実はピックアップして、評価することできると思います。
なお、本番では、人並みなあてはめができればそれでさしあたり十分であろうと思われますので、試験中にあてはめにこだわり過ぎて時間を使いすぎないように注意するとよいと思います。

萎縮効果

守秘義務というものを課されてみて初めて、
表現に対する萎縮効果というものがどれほど強烈なものか
ということの実感が湧きました。

こりゃ、確かに言いたいことも控えるようになっちゃうわ。

受験指導とかも無償でもダメ、ということみたいなんですよねー。学校に出そうと思ってた勉強方法レジュメが未完のまま修習生になってしまったので、今からこれを書き上げるという行為は修習専念義務に反するのかしら。

もう学校に出せないなら、今できて部分だけでもここにアップしちゃおうかな。
1分でできることだから修習専念義務に反するということもあるまい。

1週目

1週目は、ガイダンス、導入起案、講義、講話などイベント盛りだくさんで
あっという間に終わってしまいました。

導入起案は、「導入」なんて名前になっていますが
結構ガチだったように思います。

修習前に要件事実はしっかりと勉強しておくべきですね。
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