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日常的学習その2

4.択一知識の確認

(1) 必要な知識の定着

私は、基本書を読んだら、その該当範囲の択一の問題を解いていました。outputの機会を積極的に設けることで、「必要」な知識の定着が図れるし、択一の勉強にもなるからです。択一で問われる部分から逆算して、教科書の中で覚えるべき部分、理解すべき部分にてっとり早くあたりをつけていくことができますので、とりわけ未知の法分野を勉強していく際には有益だと思います。択一対策にもなるのですが、純粋な択一対策として行ったわけではありません。「必要な知識を定着させる」ことに主眼がありました。ですので、この勉強をしていたのは、ロー1年~ロー2年の頃までです。純粋な択一対策といいますか、本格的な択一対策を始めたのは3年秋からでした。

(2) 基本書・判例集に戻る

択一の問題集(肢別本)などを解くときには、その問題集の解説はあまり読まず、基本書・判例集に戻って知識・理解を確認していました。その方が、何度も「同じ」情報に触れることになるので、定着率が高くなると考えたからです。また、問題を解く当たっては、正誤以上に、理論問題では、なぜそうなるのかという理由をしっかり理解すること、条文問題などの単純な知識問題では、その知識を聞く出題趣旨は何だろうか?ということを意識していました。そうすることで、単なる詰め込み作業になることを回避し、あくまでも「理解」を重視した勉強にすることができるのではないかと考えたからです。




5.演習

(1) 概略

論文問題を用いた演習です。演習の目的は、①論点の理解、②事案分析力の訓練、③答案構成力の訓練、④書く訓練、⑤あるべき姿の模索、にありました。


(2) ①論点の理解

私は、論点は基本書や論文などを読むだけでなく、事例問題による演習を行うことでよりよく理解できるように感じていました。どのような事実関係の場合に、どのようにある論点が問題となるのか、そしてそれに対する様々な解釈がどのような実益を持つのか、ということがイメージしやすく、ゆえに理解もしやすいからです。そう考えていたので、私は、理解が不十分な学習の初歩の段階から、どんどん事例問題(旧試験の過去問が主)を解いていました。その際には、論点の射程、論証の注意点、あてはめのやり方などを意識的に学んでいました。
 学習スタイルとしては、基本書や判例などをしっかりと理解するまでは問題演習はしないという方もいるようですが、私は、教科書で軽く目を通したらその該当分野の問題を解いてしまってよいと思っています。演習を通じて理解が深まりますし、また、次に基本書を読む際にも、演習の際に生まれた疑問を持って読むことができるので、ただ情報を流し込む読み方ではなく、自分の必要とする情報を意識的に探していく主体的・攻撃的な読み方ができると思うからです。


(3) ②事案分析力の訓練

これは論点の抽出の訓練です。論点の抽出は、問題文中のどのような「事実」から、「なぜ」そのような論点が抽出できるのか、ということを「理解」することに意識を置いていました。この思考のプロセスは、そのまま答案に問題提起として反映させることになります。つまり、問題提起は

本件には~という事実があるから、・・・という法律上の問題がある

という形式になるわけです。このような形式で問題提起ができることが「あるべき姿」であろうと考えられましたので、演習書等の解説を読むときはもちろん、教科書で論点を学ぶときにも、どのような場合(=どのような事実があるとき)にこの論点が生じるのだろうというところを意識的に読み込んでいました(あるべき姿からの帰納)。
 そして、論点の抽出が上手くいかなかった場合には、どうして抽出できなかったのか、どういう思考方法をとっていれば論点を抽出できたのか、そのような思考方法を習得するためにはどうしたらよいか、ということを考えてみて、そこで思いついた方法をとりあえず実行することにするということを意識的に行っていました(参照、http://roguyomi.blog33.fc2.com/blog-entry-65.html)。問題演習をするときに、足りなかったり不正確だった知識の穴埋め(復習)をするだけでなく、このような思考方法の穴埋め・修正といったことも行うことが事案分析力を高めることに繋がると思います。いくら基本書や判例を読んで知識(条文・論点)を詰め込んでも、それを運用する思考枠組み・思考方法がしっかりしていなければ、せっかく詰め込んだ知識を上手く使いこなすことはできないからです。知識はあるけど、どうも論文問題が解けない、という悩みを抱えておられる方は、このような思考方法の修正・穴埋めを意識的に行うことをおすすめしておきます。そして、思考方法の穴埋めの仕方としては、実際にどのように考えていけばいいのか、という思考プロセスの解説がある演習書や教科書を利用するのが一番手っ取り早いです。たとえば、旧司法試験のLIVE過去問(憲法、貞友民法、民訴)や、佐久間「民法の基礎」などです。他には、ゼミを組んで問題演習をするときに、自分には抽出できなかった論点を正確に抽出できた人に、どのような事実からどのような理由でその論点を抽出したのか聞いてみて、その人の思考方法を学び取るという方法もあります(ゼミを組む意味の1つはこの作業ができることだと思います)。思考プロセスの解説がなかったり、ゼミを組んでいたりしない場合には、とりあえず自分で思考方法を修正する必要があります。自分だけで考えるので、それが常に正しい思考方法へ修正できるとは限りませんが、とりあえず、その問題については解答できる思考方法を定立しておけば足りるだろうと考えていました。たとえば、単純な例を出すと、民法において、不動産明渡請求の事案で、土地占有者の留置権の抗弁を抽出できなかったときには、「他人の土地の占有者が土地を明け渡せといわれているときには、留置権の可能性も考える」といった程度のものでも、次からは留置権の抽出に失敗しません。
 

(4) ③答案構成力の訓練

これは必要な議論を、網羅的に、議論の出発点から論理的な順序・関係に即して組み立てていく訓練です。これは事例問題を解いて訓練しなければなかなか身につかない力だと思います。議論を組み立てていく際には、結論を出すにあたり論ずべきことを一つ一つ丁寧に、省略したりしないで積み重ねていくことを意識していました。ここは論理的思考力が問われる部分だと思います。


(5) ④書く訓練

これは、自分が考えた内容を読み手に正確に伝えられる文章力と、ナンバリング・項目分けといった答案の構成を洗練させる訓練です。どのように書くかということにはいろいろな方法論やノウハウがありますが、まずは、自分の思考を正確に伝えられる文章を書けるように意識することが大事ではないかと思います(そして、今回の自分の結果を見るかぎり、さしあたりそれで足りるようにも思います)。人に答案を読んでもらって、答案に書いてあることの意味が分かるかどうかチェックしてもらうのもよいと思います。読んでもらった人に、この部分はどういう意味なのか?と聞かれてしまう場合には、自分の思考が読み手に素直に伝えられていないということが分かるからです。ですので、ゼミで答案を読んでもらうときには、法律論の是非をチェックしてもらうだけでなく、自分の思考が伝わるかどうかチェックしてもらうということがとても有益です(これもゼミを組む意味の1つだと思います)。
 ナンバリング、項目分けは、より読みやすい答案にするために行うものです。そのやり方は、前述した山島「法律答案の構造的思考」が参考になります。とはいえ、それほど点数には影響しないような印象があります。


(6) ⑤あるべき姿の模索
旧司法試験の過去問を解くときにA評価の再現答案を分析することで行います。その際には、前述した永山「論文の優等生になる講座」が非常に役に立ちます。これに対し、新司用の演習書は、模範解答などがなく、あっても冗長なものが多いので、それが「あるべき姿」にはなりえないものが多いように思われます。私は、旧試と新試の過去問以外では「あるべき姿」の模索は行いませんでした。最終的には、新司法試験の過去問と再現答案に出題趣旨やヒアリング、採点実感を用いて「あるべき姿」の模索をすることになりますが、学習の初期段階では、まず旧試の過去問を利用して「あるべき姿」の模索を行って勉強すると、着実に実力を養成できてよいと思います。


(7) 補足

論文問題を使った演習では、多くの場合時間を計って行うと思います。確かに、一定の時間内に答案構成をしたり、答案を書き上げる訓練も重要です。しかし、同時に、論文問題について徹底的に考え抜く訓練も重要であると思います。とりわけ、昨今の新司法試験は思考力重視の試験になっていますので、徹底的に考え抜く訓練を沢山して思考力を養成しておくことが肝要だと思います。ですので、時間に厳密な制限をかけることなく、考えぬく思考訓練としての論文問題演習の時間もできるだけとると良いと思います(そのような作業はローの講義の予習をてっを抜かずに考え抜くことによって行うという手もあります)。ただし、自分一人で考えていると、変な方向に行ってしまったり、議論の本質や大筋、大局を見失ってしまうこともあるので、ゼミを組んで意見を出し合いながら考え抜いてみたり、自分が何を考えているのかわからなくなったり混乱してしまったときには、そもそも問題の所在は何で、条文の趣旨は何で、どんな利益を守るための議論なのかといったところまで一旦議論を戻してから、それらを念頭にもう一度議論を進めてみるといった工夫をする必要がでてくると思います(ローの講義で思考訓練をする場合には、分からなくなったら教授に質問できるので効果的です)。
 思考力は、一朝一夕に身につくものではなく、このような思考訓練を地道に積み重ねることによって、少しづつ、しかし、着実に養成されるものではないかと感じています。ロースクールの講義の予習に手を抜かず、考え抜いて講義に望むことを3年続けたことは、この思考力の養成に役立ったと確信しています。


長くなってしまったので、とりあえず一旦ここで切ります。
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No title

こんにちは。いつも参考にさせていただいています。

私は今年、最終不合格でした。ログヨミさんの記事を読むなどして敗因分析をしているのですが、今年は論点抽出・出題意図の把握がうまくできない→答案構成に時間がかかる→答案が薄くなるといった科目が多かったです。演習は答練に任せていて演習書を使った②事案分析力の訓練、③答案構成力の訓練をほとんどやっていなかったことが大きな原因かと思います。

現在は、演習書を使って上記部分を意識的に訓練するようにしています。今回のログヨミさんの記事は普段の勉強の指針として特に参考になりました。

さて、演習書について質問があります。

合格者の方のブログを見たり話を聞いたところ、(1)科目別にメインの1冊を決めてそれを潰した(=答案まで書いた)という方、(2)メインの1冊を決めず、とにかく演習書の類をたくさん読んだ(答案は書かなかった)という方、(3)メインの1冊を決めて潰したが、他の演習書は読むにとどめたという方がいらっしゃいました。

私は、答案を書く訓練もしつつ、②・③を鍛えたいため、(3)の方法を取り入れようと思います。具体的には、できるだけ思考プロセスが明示されているもの(民訴ならばLive本)をメインに据えて答案まで書くようにし、それが終わったら、その他の演習書(民訴ならば、解析民事訴訟、事例演習民事訴訟法、基礎演習民事訴訟法等、多くの受験生が使っているもの)について答案構成をして解説を読もうと思います。今はメインに据えた演習書を潰している状態です。

これは勉強の方向性として正しいでしょうか?

Re: No title

>>百谷さん

ありがとうございます。

事案分析力の養成には、沢山事例問題をといて、思考パターンを沢山ストックするのが有効だと思います。解いた問題の「種類」が多ければ多いほど思考パターンも沢山ストックすることができて、より事案分析力を向上させてゆくことができます。そして、事案分析力のトレーニングには必ずしも書くことは不要で、答案構成を行うにとどめる解き方でも十分有効に行えます。その答案構成のときに、私のいう答案構成力の訓練も行えば、事案分析力のトレーニングと答案構成力を手早く進めていけると思います(ただし、答案構成は一つ一つの議論をきっちり丁寧に積み上げていく作業を慎重に行う必要があります)。書く訓練も大事ですが、事案分析力と答案構成力が足りなかったことが敗因であると自己分析されたのであれば、大量に問題演習をする必要があると思いますので、答案構成でどんどん問題を解いていくといいのではないでしょうか。さしあたり、書くのはあるべき姿として参考になる様な参考解答例などがある場合に限定してもよいと思います。そして、ある程度事案分析力と答案構成力がついてきたら、新試験型の問題で書くトレーニングを行なうというのが段階的な学習になってよいのではないかと思います。

No title

答案構成力の訓練について質問させて下さい。

ここでいう答案構成力の訓練とは、本番(ないし答練)で行う答案構成とは違うという理解で合っておりますでしょうか?

答案構成力の訓練とは、

>必要な議論を、網羅的に、議論の出発点から論理的な順序・関係に即して組み立てていく

とのことでしたので、例えば 事案の問題提起→論点の問題提起(条文の文言解釈であることの指摘等)→論証(趣旨から思考して、理由付けのキーワード、規範まで書く)→あてはめ(特にポイントとなる問題文中の事実の指摘)→事案の結論 といった流れを意識して紙に書き出していく作業だとイメージしました。辰己のえんしゅう本にある答案構成例のような、接続詞を使うなどして論理を丁寧につないでいくイメージです。
これに対して、本番や答練では時間がなく、このような丁寧な形での書き出しができません。
普段は上記のような訓練を意識して行い、本番や答練では頭の中でそのような思考を行うということなのでしょうか。

今答練を受けているのですが、丁寧に答案構成すると時間が足りなくなる、かといって大ざっぱに答案構成をすると答案が乱雑になってしまうという悩みがありましたので質問させていただきました。

No title

>>Curryさん

ご質問ありがとうございます。

私のいう答案構成力における答案構成の内容はCurryさんのイメージ通りです。答案構成力というネーミングより、法律構成力というネーミングの方がいいかもしれませんね。

答案を書く際に行なう答案構成については私もかなり悩みました。詳しく作成しておかないとせっかく考えた内容をいざ書くというときに忘れてしまったらいやだし、だからといって詳細なものを作成すると書いている時間がなくなってしまいますよね。そこでいろいろ工夫してみたのですが、最終的には、答案構成は目次と言いますか、議論の骨格、骨組み部分と書く内容のキーワード程度にして、メイン論点と思われる(長くなる)当てはめ部分の事実の評価や現場思考型の法律論などだけある程度詳細に書き記しておくことにしました。答案構成用紙に書く文字数を出来るだけ減らすことで書く時間を確保出来るようになりますし、目次を立てておけば、議論の順序がごちゃごちゃになるということも防げますし、上記のような評価部分や法律論でなければ、メモがなくても書けるからです。ですので、おっしゃる通り、普段は丁寧に議論を積み重ねて行くことをしっかり訓練しておいて、その訓練によって、本番では目次と簡単なメモで答案作成ができるようにしておくとよいかと思います。

困ってます(泣)

はじめまして。いつも参考になる記事を有難うございます。
本年度の過去問を検討してまして非常に困っていまして質問させて下さい。
本年度の民事系科目第1問設問2①の「発行された株式の効力」の部分についてです。
この部分について以下のように検討してしまいました。
誤っている部分を指摘してくだされば幸いです。

問題文3の第1段落において、Bは株式の一部を譲渡している。
そして問題文においてその新たな株主に対して通知(会社法201条3項)している事情はない。
そして本件発行は、「不公正な方法」に該当し、その株主が不利益を受けるおそれがある(210条2号)
よって、差し止め事由があるのに通知してないから無効である。

やはり、ここは問題を見た瞬間前段部分との絡みで聞いていると判断しなければないなかったのですかねぇ・・・
非常に落ち込みます。

No title

こんにちは。
ログヨミさんの記事はプリントアウトしてことあるごとに読み返しています。今回の記事も早速プリントアウトしました。
ところで、今回の記事に関して質問です。演習書の使い方なのですが、①問題文を読む→すぐに解説を読むという方法と、②問題文を読む→答案構成をする→解説を読むという方法がありますが、どちらが良いのでしょうか。
①はいわば演習書をインプット素材として使うという発想です。はじめのうちは基本書の該当箇所を読んだ上で演習書の問題文を読んでも、せいぜい「○○が論点になりそうだ」程度のことしか分かりません。とすれば、①は知識の使い方・問われ方を学ぶという意味では有益だと思います。しかしその反面、答案構成をする力や答案を書く力はあまりつかないようにも思います。
1回目は①の方法をとって、2回目以降は②の方法をとってみる方法もよいと思うのですが、いかがでしょうか。

Re: 困ってます(泣)

>>山さん
ありがとうございます。

確かに、問題文に掲げられた事実からは、通知(会社法201条3項)がされているという事情は示されていませんね。しかし、通知を欠いたとは書かれていません。ということは、通知がないことを前提にしなさいよ、というメッセージは、問題文にはないのではないかと思います。私が過去問を検討した限りでは、新司法試験においては、そこに明示されたストーリーに即して議論を組み立てることが要求されていると考えられました。本文のストーリーには、通知を欠いたという事情は登場していないと思います。通知の有無は問題文に明示されていないifの部分でしかありません。しかも、通知を欠いたことは、原則として無効事由になりますが、差止め事由(会210条)がなければ無効になりません。そして、本問には、差止め事由に該当するような事実は示されていないように思われます。山さんは本件の発行を「不公正発行」と捉えたようですが、本当にそういえるでしょうか?基本書で「不公正発行」とは何かを確認してみてください(江頭2版691pでは、「不当な目的を達成する手段として募集株式の発行等が利用される場合」とされています)。そうすると、本件では、通知を欠いたことが無効にはならないことになりますので、余計にこれは問われている事柄ではないだろうと考えることができると思います。

さらに、会社法は平成21年で、前の設問が次の設問に解答する前提になっているケースがありましたので、今回もそうではないか?と一応考えてみる、ということも大事だと思います(前提になっているはずだ!と思い込むのはダメです。あくまでも、もしかしたら?と考えてみるだけ)。私は実際そのように考えてみました。

とりあえず、本件の私の思考パターンを示しておきます。

1.形式的問いの把握
 ①本件募集株式の払込みの効力(a)及び発行された株式の効力(b)、②A、B及び丙社が甲社に対して負担する責任(c,d,e)、③A及びBが乙銀行に対して負担する責任(f,g)。大きく分けて3つ(①ないし③)、細かく分けると7
つ(aないしg)。

2.実質的問いの把握(論点抽出)
 株式の払込みの効力が問題になっている。本件では、金を借り入れてすぐ返すということをやっているから、見せ金が問題になりそうだ、と思う。
 次に、株式の効力。株式の効力といわれれば、新株発行無効の訴えの話(既に発行されているので、差止めの話ではない。そもそも「効力」の話なので、差止めが関係ないのは当たり前だけど)。そうすると、無効原因があるかどうかが問題だ。今検討した、見せ金には、それが無効原因になるかどうかという問題があって、江頭に見せ金は無効原因にならないと書いてあったな(江頭2版698p)。じゃあ、やはり見せ金が無効原因になるかどうかが聞かれているんだろう。わざわざ①として「払込の効力及び株式の効力」としていることからしても、払込みの効力と株式の効力を関連付けて論じることを求めているのだろうし、これでいいだろう。

といった具合です。そこに示されたストーリーを答案に反映させる意識を持てば、そのようなifの部分にひっかかることはないのではないでしょうか。

これ以降は余計なおせっかいになるかもしれませんが、一応してきしておきます。
Bは株式を一部譲渡している、とあるのですが、それが通知を欠いたことと関係があるのでしょうか?他の株主には通知したがその譲渡を受けた株主には通知がなかったという事実が示されていれば格別、通知の有無について一切事実が示されていないので、新株発行前に株式譲渡があり株主が変わっている(増えている)という事情は通知を欠いたという立論には意味を持たないように思います。
 それと、文章が法的三段論法になっていません。これは簡略化して書いていただいたからかもしれませんけれども。
 2点、僭越ながらご指摘させていただきました。






No title

>>Mnさん

ありがとうございます。

問題を読んですぐ解説を見るという手法を取られる方もいますし、実際にそれで効果があると主張し、事実として結果を出している方もいるようです。しかし、私はそのようなことはあまりした記憶がありません。
 といいますのも、まずは問題文を読んで、どんな議論になるか自分なりの思考をしてみて、その後に解説を読んで、自分の思考を修正していくという作業が重要だと思ったからです。学習の初期の段階では間違えてばかりですが、そのような失敗を経験するからこそ、この考え方はダメなのだ、と意識付けできて、思考方法を修正し、次からそのような誤った考え方をしないで済みます。やってしまった間違った考え方は、その当時の自分が自然にしてしまう考え方である可能性が高いので、放って置けば、その誤った考え方のままの思考パターンを繰り返してしまうおそれがあります。自然に出てしまう自分になじんでしまっている思考は、なじんでしまっているが故に、そのような思考方法はダメなのだと強く意識的に修正しようとしなければ、改善することは難しいと思います(大学受験時代の勉強方の本の数学や現代文などの思考系の勉強方のところに似たようなことが書いてありました)。
 これに対して、問題文を読んで自分なり考えずに解説を読んでしまうと、そこから正しい思考方法は学びとれるかもしれませんが、自分がその当時持っていたかもしれない誤った思考方法を自分で認識することができません。そのため、自分の誤った思考について、これはダメなんだ、改めようという意識付けをすることはできません。その結果、そのような誤った思考方法がふとしたところで出てきてしまうおそれがあるように思います。そのため、私は、必ず自分なりに考えてから解説を読んでいました。本番で失敗しないために、それまでに沢山失敗を経験して、それを1つ1つ修正していくことが大事だと思っていたのです。
 確かに、学習の初期段階では、大した思考はできず、なんとなくこの論点か?としか思いつかない場合もあります。しかし、その場合でも、なぜこの論点だと思えるのか?などは考えられると思います。もし、あまりにも知識がなさ過ぎて問題がさっぱりな場合にも、問題集の解説に進むのではなくて、基本書の該当部分(と思われる部分)に戻ってみて、それからもう一度問題について考えてみる、という風にした方が、思考力養成・事案分析力養成にはよいのではないかと思います。
 2度目に自分で考えてみるという手法ですと、すでに問題の概略を把握してしまっているので、どうしても問題文の事実だけから思考を積み重ねるという作業は出来ません。記憶にひっぱられたりしてしまいます。ですので、1度目に自分で考えてみる場合と同じようにはいかないので、やや効果が薄いのではないかと思います。ただ、問題を解く際に、きっちりと「~という事実がある。この事実は・・・という意味を持つから、・・・という論点が抽出できる」などと、しっかりと理由付けて記憶に頼らない思考をしていけるのであれば、正しい思考方法の修得という点では効果は十分にあると思います。

そうすると、両者の選択の要は、「有しているかどうかもわからない、しかもあったとしてもそれが司法試験で悪影響を及ぼすかどうかもわからない誤った思考を、仮にあった場合には修正する、ということのために時間を避くかどうか」ということになるのかもしれません。

No title

お忙しい中、回答本当に有難うございます。
思考パターンの説明が非常に分かりやすかったです。
また質問させていただくかもしれないですが宜しくお願いします。

No title

丁寧なご回答ありがとうございます。
悩んでいたので、霧が晴れた感じです。

No title

ご回答ありがとうございました。

事案分析力の養成については、予備校講師の出している本や合格体験記を読んでも、「とにかく問題に当たる」程度のことしか書いておらず、困っていました。

お陰様で具体的なイメージを持つことができました。

お願いします

民事系第2問設問3・4(民事訴訟法の部分)について質問させて下さい。
合格者の方に聞くと基本的なことから書いていけばよいと言われるのですが、どのようにそれを「使って」いるのかが分からなくて困っています。
超上位の方は問題をどう分析し、どの基本的事項をどのように使おうと考えられたのかお聞かせいただければ本当に幸いです。
お忙しい中恐縮ですが是非お願い致します。
もしよろしければ設問2についてもお聞かせください。

Re: お願いします

>>山さん
ありがとうございます。

民訴の設問3については、旧司法試験昭和44年第1問、平成14年第2問を検討しておけば難なく解けたのではないかと思います(解析民事訴訟の194p~200p)。

とりあえず、思考プロセスは

1.形式的問いの把握
 訴状送達後、Gが第3回口頭弁論期日までの間にした訴訟行為の効力がEに及ぶかどうかについて、理由をつけて論じる。
 

2.実質的問いの把握
 訴訟行為の効力が問題になっている。訴訟行為の効力は、本人が行って、それが法的な要件を満たした適法なものなら本人及び相手方とかに生じるのが基本なんじゃないかな。本件では、本当はEが相手になるはずなのにGがやっちゃった、みたいな形になっているな。とすると、そもそも「当事者」は誰だったのか?という当事者の確定の問題になるな。当事者でない人が行ったなら、その行為の効力は無効になるということか。
 当事者がGでないということになると、これを何とかしてEに及ぼす必要があるだろう。もう3回も口頭弁論やってしまっているから、「訴訟経済」「訴訟手続の安定」「当事者間の公平」の観点からして、これを無効とするのは問題だろう。じゃあ、どうやって及ぼそうか?
 まずは、EがGに「任せる」って言っているから、訴訟代理が考えられるけど、地裁だから無理だな(民訴54条1項本文)。当事者でない人が当事者として行為した場合には無権代理人による行為と同士して追認があれば訴訟行為を有効とするという解釈(民訴34条2項類推)があるけど、本件では追認したという事情はないな。そうすると、これは既存の条文および解釈論上の手がかりがないから、信義則で行くしかないだろう。本件では3回も口頭弁論をもうやってしまっているから、「手続安定」「訴訟経済」の要請が強いし、Eは自分でGに「任せる」といっているのだからGのした行為の効力を引き受けても文句は言えないはずだし、ここで無効とすると相手方当事者にあまりに酷になって「当事者間の公平」を欠く。このことからして、信義則上、訴訟行為が自己に及ばないと主張することは許されないといえないだろうか。

といったものです。当事者の確定の議論においては、手続が積み重なっていった後に、当事者でない者がしてしまった訴訟行為を無効とするのは、「手続の安定」を害する、「訴訟経済」上問題、「当事者間の公平」を欠く、といったように、民訴の基本概念(利益)が登場します。これは基本書や演習書により得られる知識・理解です。このような利益が、本件の具体的な状況下でどうなっているかをシュミレーションしてみればいいのです。3回も口頭弁論をやっているという点からは、訴訟行為を無効とすれば、まだ訴訟が継続していなかったり、継続していても口頭弁論が1回や2回のときよりも「手続の安定」「訴訟経済」の要請が強くなっていることがわかりますので、ここで訴訟行為を無効とすると「手続の安定」「訴訟経済」が相当に害されることになるとわかります。また、EがGに「任せる」といっていることからすれば、訴訟行為を有効としてもEには酷出ないといえるのに対して、3回も口頭弁論を行ってきた相手方は訴訟行為を無効とされればそれまでの訴訟活動やそれに費やしてきたエネルギーを無駄なものとされることになりとても酷なことになり「当事者間の公平」を著しく害することがわかります。そうすると、適当な条文や解釈論がなくても、これは信義則を用いて訴訟行為を有効としたほうがいいな、という発想になります。


設問4も同じです。既判力の問題だから既判力の趣旨である「紛争の終局的解決」が1つの利益であり、同時にどの範囲で判決を求めるかという処分権主義の問題だから、処分権主義の趣旨である「原告の合理的意思の尊重」がもう1つの利益になる。そして、それぞれの見解によると、その結論はこのどちらの利益をより達成できるのだろうか、とシュミレーションしてみます。そうすると、法律構成①では、債権全体が訴訟物になることから、債権全体に付き既判力が働くので、「紛争の終局的解決」には好都合だとわかります。これに対して法律構成②では、請求を1部放棄していることから、放棄部分には既判力が生じるかどうかが問題になり、制限的既判力説に立てば、意思表示に瑕疵があれば既判力は生じないことになってしまうので、紛争解決基準の安定性が弱く、「紛争の終局的解決」にはあまり都合が良くないことになります。そうすると。「紛争の終局的解決」の点では、法律構成①の方が優れていることになり、法律構成②は「紛争の終局的解決」の点で問題があるという欠点があることになります。しかし、法律構成①であると、原告は審判して欲しい部分以外について訴訟物から分断したくとも分断をすることができないことになり、審判して欲しいとは思っていない部分にまで既判力が生じてしまうという結果になります。そうすると、「原告の合理的意思の尊重」の点からは問題があります。判例が一部請求において訴訟物の分断を認めている点が「原告の合理的意思の尊重」にあることからしてもこれは問題だといえることがわかります。これに対して、②では、原告が裁判所による審判を求めた部分だけに既判力が生じ、原告が裁判所による審判を求めなかった部分(放棄部分)には、既判力が生じない、あるいは制限的な既判力が生じるだけであるとする余地があるので、こちらの方が「原告の合理的意思の尊重」になっていることがわかります。そうすると、「原告の合理的意思の尊重」にならないという点が①の短所であり、「原告の合理的意思の尊重」になるというのが②の長所であることがわかります。

民訴は基本概念(利益)の調整の問題が多いので、問題を特に当たっては、関係する基本概念(利益)を見つけ出して、本件では、あるいは示された見解からは、問題になる利益が守られるのか害されるのかというところをシュミレーションしていけばいいのではないかと思います。普段論点を学ぶときから、その問題ではどのような利益が問題になって、判例はどの利益を守るための議論であり、その結果害される利益についてどのようなフォローをしているのか、判例に反対する見解はどのような利益を守ろうとしているのか、といった分析をしておけば、この手の問題では少なくとも合格点に達する程度の議論を展開することは十分にできるようになるのではないかと思います。

民法については後で別に記事を書く予定です。

有難うございました

質問に答えていただき本当に有難うございました。
とても丁寧な思考過程が分かり参考になります。
民法も期待しております。
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ログヨミ

Author:ログヨミ
判事補。
https://twitter.com/roguyomi34

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