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日常的学習その3

6.講義の予習復習


 ロースクールでは、講義の予習復習に相当な時間を割かれることになります。予習復習を怠り成績が悪くなれば、大手の就活には悪影響が出ます。かといって、予習復習で手一杯になって新司法試験を見据えた学習時間を取れなければ新司法試験の結果が悪くなってしまい、元も子もなくなるおそれもあります。
 私自身は、ロースクールの成績は1桁順位で、新司法試験の成績は2桁順位だったので、上手く両立させることが出来た方だと思います。 
 私なりの工夫としては、日々の予習を、できる限り新司法試験の成績を向上させることに直結させるように勉強内容を組んでいたことがあげられます。そのために、まず、新司法試験で求められるものは何かというものを早めに探り出して(あるべき姿の模索)、それに近づけるような学習方法になるように工夫するといいと思います。といっても、私自身ロー1年の当初からそこまで徹底できたわけではありません。1年生のときには新司法試験の過去問を検討するといったことはしていませんでしたので、旧司法試験の過去問検討から得られたあるべき姿にたどり着けるように工夫してしました。これでも法律の解釈論の部分などは十分新司法試験に活きる形での学習になったと考えています。たとえば、法律の制度の趣旨や本質をしっかり理解して、条文と趣旨や本質から解釈していく態度、またはそのような視点で論点を分析していく学習態度は1年生のころからやっていました。また、日々の予習は、たとえば、配布されたレジュメをこなすだけ、などにしないで、基本書の該当範囲は講義で扱わないところでもしっかり読んで考える、該当範囲の肢別本を解いてどのような知識が問われるか把握しておく、といったことを行っていました。また、信頼できる教授が、「新司法試験は法律構成が重要で、これは今のうちからしっかり訓練しておかないとどうにもならない」とおっしゃっていたので、学習の初期段階から演習書等を利用した法律構成の訓練(前の記事で私が「事案分析力」とネーミングしているものです)を意識的に行っていました。たとえば、憲法が判例読解の講義だとすると、事前に基本書でその判例を読み解くのに必要な憲法論をまず学び、次に、判例を読んで自分なりにその事案の概要とそこからどのような事実がどういう意味を持ったが故に裁判官がそのような法律構成をしたのかを把握して、その判例のロジックを読み解くなどの作業を行った上で、その判例に関連する旧司法試験の問題がないかを探してみて、それが見つかったらその問題を解いてみる、といった具合です。ここまでやっておくと、講義において教授の講義内容からあるべき思考方法を読み取る(盗み取ると言ってもいいかもしれません。教授は「このように考えるんだ」ということは教えてくれません。教授の講義から教授がどのような思考方法を取っているかを見抜いて自分のものにするといった具合です)ことができて、自分の予習のときの思考方法を修正することが出来ます。このように、予習の際に自分でできる限り考え抜いておくと、講義を利用して非常によい思考訓練ができるのではないかと思います。判例読解の講義だから判例しか読んでいかないという人が相当程度見受けられましたが、そのような態度では講義を活かしきれず、どちらにしろ行わなければならない予習の時間が無駄になってしまってかえってよくないように思います(中には思考訓練にすらならないような講義もありますが)。

 予習・復習に時間を掛けすぎると試験対策ができなくなるので、ある程度の見切りは必要です。しかし、ロースクールの講義も使い方・利用法によっては、新司法試験には相当活きてくると思います。周囲を見渡しても、ロースクールでの学習を頑張ってきた人は新司法試験の成績もよいので、昨今の思考力重視の傾向には、ロースクールの講義を利用した思考訓練をどれだけこなしてきたかが相当に影響してくるのではないかと思います。そこで養成された思考力が、新司法試験における「底力」になるのではないでしょうか。その意味で、本格的な試験対策を始める3年秋学期以前までに、どれだけロースクールの講義を利用して思考訓練を行ってきたかというのもが相当にものを言うのではないかという感想を持っています(もちろん、ロースクールの講義を使わなくても、思考訓練はできますが、どちらにしろ講義は受ければならないのなら、その時間をできる限り活かすのがよいだろうということです。)。その観点からも、本格的な択一対策や論文対策に移行する前の日常的学習が大事だろうと思います。この記事を執筆したのも、そのような思いがあるからです。



7.論文読み


講義の予習や復習の際、あるいは、問題演習をしている際に、基本書当の手持ちの資料ではよくわからなかったときには、論文を読んだりもしていました。一部の学生向きのものを除くと、論文を読んでそれがそのまま新試に使える知識になる、という訳ではないのですが、それを読み解くことがかなり思考訓練になったのではないかと感じています。
 わからないものをわからないままにしておくと、いつまでたってもわからないままになってしまいます。ですので、参考文献などが挙がっていたら、積極的に目を通してみてもいいと思います。たとえば、民訴では、高橋重点講義で注にあがっている文献によく目を通していました。闇雲に読むのではなく、「~の部分の理解をしたい」といったような目的をもって文献を選び出してそれを読むことは、急がば回れという感じで、時間はかかりますが、よい結果に繋がるように思います。
 ただ、どうしてもわからない場合には、他の優秀な友人に何人か聞いてみて、その人たちが分からないといったらもう分からなくてもいいという見切りも必要だと思います。相対試験なので、優秀な受験生がわからないようなことを自分がわかっている必要はさしあたりないといえるからです。そのような見切りをしていって、調べものにあまりにも大量の時間を掛けすぎるということはやめたほうがいいと思います。





8.終わりに

以上で、日常的学習についての話を終えたいと思います。この一連の記事は、ここで示した方法を採る採らないは別として、具体的な択一対策や、具体的な論文対策にうつる以前に、このような様々な工夫の余地があるのだ、ということを知ってもらえればいいと思って執筆してきました。ご自身の普段の学習態度や工夫と比べていかがでしたでしょうか?もし成績が今ひとつ伸びないと悩んでいる方で、このような工夫をあまりしていないのであれば、成績が上がらないのは貴方の素質が足りないからではなく、単に勉強の工夫・ノウハウが足りていないだけだと思います。自分には力がないと諦める前に、いろいろ工夫をしてみてください。きっと道は開けると思います。
 私自身のロースクールの成績も、新司法試験の成績も、3年前のロー入学直前の自分に伝えてあげたら「ウソだ、おれにそんな力はない」と決して信じなかったと思います。最初から頭が良かったわけでは決してありません。そのような状態から、ここまでの結果にたどり着けたのは、ここに示したような目的意識を持った戦略的学習を3年間地道に積み重ねててこれたからに他なりません。みなさんも、正しい(と思われる)努力を積み重ねていければ、きっとよい結果が出せると思います。この一連の記事がその一助になれることを祈って、日常的学習の記事を終えさせていただきたいと思います。お読みいただきありがとうございました。
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No title

刑訴について質問です。

伝聞の論文問題で、「何が要証事実か(原供述の真実性が問題になるのか否か)」というところをよく間違えてしまいます。基本書に書いてある例は分かるのですが(どの基本書も大体具体例が同じですよね)、事案が違う(会話内容が違う)と感覚で真実性が問題になるんじゃないかな?などと決めうちしてしまい、結局間違っているということが多いです。

どういう思考過程をとればよいのかが説明されている本を探していますが未だ見つかりません。もし、この点に関して有効な対策法や、読んでおくとよい論文・参考書等があれば教えて下さい。

No title

>>柴田さん
ありがとうございます。

要証事実の設定は難しいですね。私もよくわからない期間が長く続いていました。3年の秋ぐらいに、教科書や後述の酒巻連載を片手に判例を分析したり、新試の過去問を分析したりして、ようやく、だいたいこういうことなのだろうと目処がついてきたような程度です。それを示すと、大体以下のようなものです。

問題文では、大抵検察官の立証趣旨が示されていると思います。その立証趣旨、すなわち、検察官が当該訴訟において、当該供述証拠により証明したいことは何なのか、というのをまず考えます。それが確定できたら、それを証明するためには、当該供述証拠の存在自体が証明されればよいのか、それとも、当該供述証拠の供述の内容が真実であることが証明される必要があるのかどうかを、証拠による事実認定の過程をの理解に即して考えてみました。前者ならば、当該証拠の要証事実は供述の存在であって供述内容の真実性とは無関係なので非伝聞、後者であれば要証事実は供述内容が真実であることになるので伝聞ということになります。

たとえば、殺人事件の公判廷において、被告人が殺意を否認しているとき、検察官が立証趣旨を「被告人に殺意があったこと」として証人尋問を行い、証人により「事件前に、被告人が「Aは殺してもいいヤツだな」と述べていた」、という供述がされたとします。
 立証趣旨、すなわち、本件において検察官が右証人の供述により証明したい事実は、被告人に殺意があったこと、です。そして、右のような発言をしたことさえ明らかになれば、殺してもいいヤツだなというような発言をするくらいなら被告人には殺意があったのではないか、ということが推認できるので、被告人には殺意があったことが立証可能であるといえます(間接事実による推認)。これに対して、この供述の場合、その内容の真実性は「Aは殺してもいいヤツであることが真実であること」になってしまいますが、そんなことが真実であっても、それによって被告人の殺意は全く証明されません。したがって、供述内容の存在が要証事実であり、供述内容の真実性は要証事実にならないので、伝聞証拠にはなりません。

例外的に、検察官の立証趣旨とは別に、実質的に要証事実を考えていくケースもあります(最決平成17年9月27日)。それは、当事者が設定した立証趣旨をそのまま前提にするとおよそ証拠としては無意味になる場合です。そのような場合では、当該証拠を用いる本当の意味、すなわち、その証拠によって検察官が真に証明したい事実を分析して、そこで設定できた要証事実について、当該供述証拠の存在自体で立証ができるのか、それとも、供述内容の真実性が立証されなければならないのか、ということを考えることになります。

要証事実との関係で伝聞・非伝聞を決定していく理論、思考方法にうついては、酒巻先生の法学教室の連載(2004年ごろからのものです)がわかりやすかったように感じています。問題演習の題材については、新試の過去問以外にはあまりよいものが見当たりませんでした。他にはせいぜい、ケースブック刑事訴訟法の問題などでしょうか。

この話は具体例がないとなかなか腹に落ちてこないと思いますので、もし何か具体的な事案を前提に悩まれているのであれば、その事案を提示していただけると回答もよりよいものがご提供できるかもしれません。

No title

ご回答ありがとうございます。

ログヨミさんのご回答で、原則的には検察官の視点に立って考えること、また、事実認定のプロセス(間接事実による推認等)を意識すること、起訴されている罪の構成要件を把握することが重要と感じました。ご回答いただいた思考過程を意識して訓練していきたいと思います。酒巻先生の連載も読んでみます。

具体的な事案としては、例えば旧試の過去問(平成元年第2問)です。
http://barexam.at.infoseek.co.jp/ronbun/kakomon_ks.html の一番下にあります。

この問題では検察官の立証趣旨自体明示されていないのですが、例えば、丙の第1発言(①)について、殺意の有無は主観的な問題だから、丙が本当に殺そうと思っていたかどうかで決まる。とすれば、真実性が問題になりそうだ、でも、言葉の存在自体が要証事実である場合のような気もする、等と考えてしまうのです。

ちなみに、今年の新司刑訴の問題は捜査報告書に会話内容がずらっと並んでいましたが、会話内容のうち「どの部分(セリフ)」が要証事実との関係で問題となるのか?という点で悩んでしまいました。
平成20年の過去問は会話(日記)の中の一定のセリフが取り上げられていましたので、今回もあるセリフが問題となるのだろうと考えたためです。
出題趣旨を見ると、「甲乙の会話部分」とか「乙の説明部分」などと1つ1つのセリフではなく、まとめて検討していたので、そもそも検討する視点が間違っていたのではと思います。どうも基本書の具体例や旧試の過去問(平成元年第2問)には会話全体ではなく、その中のあるセリフを問題にするものばかりでしたので、誤解が生じていました。

No title

>>柴田さん
ありがとうございます。

>原則的には検察官の視点に立って考えること、また、事実認定のプロセス(間接事実による推認等)を意識すること、起訴されている罪の構成要件を把握することが重要

そうですね。これがとても大事なのだと思います。

平成元年第2問の供述①ですが、本件は強盗被告事件ですので、そもそも殺意はその構成要件ではありませんよね。そうすると、殺意の有無は供述①で立証したいことではないはずです。強盗被告事件であることから、その要件である「暴行・脅迫」の「脅迫」の存在が立証趣旨になっているのではないかと考えられます。つまり、この供述①は「脅迫」にあたる要件事実そのものではないかということです。そうすると、このような発言をしたこと自体が「脅迫」に該当するので、発言が存在したことを立証すれば、「脅迫」があったことが立証できます。したがって、要証事実は供述①のような供述が存在したこと、になります。ゆえに、供述内容の真実性は要証事実出ない(立証する必要はない)ので、伝聞証拠にはあたりません。


本年度の問題についてはまだ解説に目を通していないため、回答内容の正確性を保障できませんので、ざっくりと「こうではないか」程度に留めておきます。
 おそらくは、一つ一つの会話で分ける、などといった視点ではなく、特定の立証趣旨との関係で分けていくのではないかと思います。特定の立証趣旨を達成する上で、供述の存在自体の証明で足る部分、供述内容の真実性の証明が必要な部分に分けて論じればよいのではないか、ということです。出題趣旨の「要証事実を的確にとらえれば、甲乙間及び甲丙女間でそのような内容の会話がなされたこと自体を証明することに意味があり、会話の存在を立証するものだから、この会話部分は伝聞証拠には該当しない~」といった部分はそのような意味であると思います。

No title

ありがとうございました。

過去問や今年の答練で、ログヨミさんから教えていただいた思考過程を意識しつつ、問題演習をしようと思います。

Re: No title

>>柴田さん
ありがとうございます。

ついでに付け加えておくと、立証対象は構成要件要素には限られませんので、それだけご注意ください(ex.すかんわ事件の「動機」)。

学習計画について

はじめまして。
私は現在学部の2年生ですが、「日常的な学習」の記事は大変参考になりました。

修習前でお忙しいとは思いますが、学習計画の立て方について質問させてください。

私は今、普段の学習に目的意識を持ち、モチベーションを約二年後の大学院入試まで維持させるためにも予備試験を目標に学習したいと考えています。
ですが、旧試とは異なり、法律科目を7科目受験しなければならないため何から手をつけていいのか分からない状態です。

そこで、
①来年5月までに7科目に取り組めるような計画を立てるべきか。
 それとも、従来同様今の時期は憲・民・刑にウエイトを置いた計画 を立てておくべきか。
②具体的な対策としては択一対策をメインにし、先日の記事でも紹 介されていたような論文とのリンクを図るという方向性で問題ない か
についてお答えいただけたらと思います。

ちなみに、私は憲・民・刑については昨年から答案をある程度作成までしてきましたが、下三は大学の入門講座を受講した程度で、行政法には手をつけていない状態です。

予備試験についてはまだ実施されていないこともあり難しい質問だとは思いますが、ログヨミ様ならどのように学習計画を作成されるのかアドバイスを頂けたらと思います。
よろしくお願いします。

Re: 学習計画について

>>SHさん
ありがとうございます。

来年5月の予備試験での合格を本気で目指すのかそうでないのかによっても変わると思います。
予備試験の制度内容は知らないのでなんともいえませんが、予備試験で合格するための「あるべき姿」をサンプル問題からある程度検討して、自分の現状を把握した上で、あと7ヶ月で「あるべき姿」にたどり着くための方法を立案して、実行して、評価して、修正して、を繰り返していくのが基本的なスタイルになるのではないでしょうか。その際に、日程も勘案して、7ヶ月で「あるべき姿」にたどり着けるようなスケジューリングも立案していくことになると思います。この作業には「自分の現状」と「あるべき姿(=合格レベル)」との距離を正確に測ることが不可欠で、「自分の現状」は相当な情報提供をされない限りご本人にしかわかりませんから、どうしてもSHさんのご自身がやらなければならないものです。

現状、すなわち、どの程度学習が進んでいるかはコメントいただいた内容だけでは把握しきれませんが、一つ言えるのは、これからたった7ヶ月で7科目を合格レベルまで持っていくには相当な努力が必要になるのではないか、ということです。なんとしてでもやりぬくという覚悟があればともかく、生半可な意思では、7科目どれも中途半端に終わってしまい、7ヶ月間の学習が非効率的なものになって、長期的に見ればかえってよくない結果になるおそれすらあります。何が何でも来年5月に合格、という強い意思まではないのであれば、上3法をしっかり勉強する、ある程度上3法が完成したら残りの科目に手をつける、という方針の方が段階的な学習になってよいように思います。

本気で来年の合格を目指すのならば、1科目1ヶ月というリミットをかけて、集中的に学習していくことになりますね。予備試験は旧試権と同様に択一・論文との間に2ヶ月ほどの期間があるようなので、新司法試験のスケジューリングとはまた異なってくると思います。ただ、論文と択一の科目に違いがないようなので、私なら年内から1月くらいまでは択一対策メインでやってみるかもしれません。

No title

ご回答ありがとうございました。

まずはサンプル問題の検討から始めて、今後の計画の立案をし、この七ヶ月は上三法にウエイトを置いて段階的に学習してみようと思います。
プロフィール

ログヨミ

Author:ログヨミ
判事補。
https://twitter.com/roguyomi34

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